部屋と沈黙

本と生活の記録

山口アーツ&クラフツ 2018

山口アーツ&クラフツへ。前の日の夜にアイロンをかけた縞のワンピースに、麦わら帽子をかぶって行く。この格好にピクニックバスケットを合わせるのはあまりにもロマンティックすぎるかと(年齢的にも)ためらいつつ、でも好きだから仕方がない。

今年はこのふたつ。
〈コバルトグラスラボ〉のガラスの器は色に惹かれて。底に向かって少しずつグラデーションをかけているそう。本当に綺麗。眺めているだけで幸せな気持ちになる。
〈陶器つる岡〉の器は、蕎麦猪口にも、湯呑みにも、コーヒーカップにもよさそう。好きな雰囲気の器ばかりで、あれこれ10分以上迷う(カップか鉢か飯碗か……)。

去年、輪花鉢を買った〈グラスタイム〉では格好いいガラスの蓋物を見つけたものの、貧弱な懐具合で手が出せず……。木工ブースで見かけるシェーカーボックスも同様。

弥五郎ドーナツでクルミとチョコのドーナツを買い、おやつとする。

距離感の物差し/チェルフィッチュ『三月の5日間』リクリエーション

2018.3.10 sat
山口情報芸術センター

それじゃあこれから、チェルフィッチュの『三月の5日間』っていう芝居を観てきた感想を書こうと思うんですけど、あ、観てきたのはこのブログを書いてるYって人なんですけど、それで観てきたんですね、3月の10日に。
車を運転して、途中セブンでコーヒーとドーナツを買ったんですけど、カーステにスカートの『20/20』を入れてご機嫌ご満悦、「視界良好」って感じで、それで、『三月の5日間』が終わったあと車に乗り込んだら、なんか超いい匂いがするとか思ったんですけど、置きっぱなしにしてたコーヒーからコーヒーの超いい匂いがするとか思ったんですけど、思いながら運転してうちに帰ったんですけど、これから書くのは、その少し前に観終わった『三月の5日間』っていう、イラク戦争が始まった2003年3月の東京の、若者たちの5日間を描いた芝居のこと。

2003年の3月といえば、Yは18歳だったんですけど、ちょうど高校卒業と大学入学の年で、初めて一人暮らしをするっていう、そういう時期だったんですけど、だからなのか、戦争のことなんて殆ど気に留めてなかったんですよね、一人暮らしの部屋のカーテンとか洗濯機を選ぶことに夢中で、たとえばラブホの隣に、ミッフィーちゃんの隣に、デモの隣に、ディズニーストアの隣に、コンドーム3ダースの隣に、もちろん、Yが選んだ洗濯機の隣に、具体的な戦争があっただなんて、知っていたけど今知った、今思い知ったすみませんって感じだったんですけど、『三月の5日間』の若者たちの、どこまでも「わたし」から抜け出していくような話し方だとか、語りと乖離している身体の動きだとか、そういう誰も「わたし」ではない、誰も本当の当事者ではないその感じが、そのときの戦争との距離感っていうか。

だからまあ、物語かと思って受け取りに行ったら物差しだったっていう。受け取った直後は何がなんだか分からなくて、愕然とコーヒーの超いい匂いがする車を運転してうちに帰ったんですけど、『三月の5日間』で使われていた表現を真似て、こんなふうに文字に起こしてみたら、ああ、『三月の5日間』は、物語というより距離感の物差しだったんだなって、ようやく腑に落ちて、わたしもこれと同じ物差しを前から持っていたんだってことに、Y自身、ようやく気がついたんですよね。

三月の5日間[リクリエイテッド版]

三月の5日間[リクリエイテッド版]

小鬼と新しい商売

武井武雄の描く童画には毒っ気がある。子どもの心に棲む可愛い小鬼が悪戯っ子の目で笑う、そんな雰囲気がある。

このあいだは武井武雄展を観に周南市美術博物館へ行ってきた。子どものために描かれた童画のほか、版画や玩具“イルフトイス”も展示されている。「本の宝石」とも呼ばれる刊本作品には、ゴブラン織りや寄せ木、螺鈿で細工されたものもあり、それらが詩や物語とともに「本」として綴じられていることにときめく。全139冊のうち、展示されていたのは30冊。そのなかのひとつに、“月と星しか知らず、それを昼だと思っていた子どもは、まだ半分植物だった”という内容の一節があった(うろ覚え)。あとに、どんな美しい物語が続くのだろう。

2月から運行が始まった100円バスに乗り、オープンしたての周南市立駅前図書館へ。図書館に書店とカフェを併設した、いわゆる「TSUTAYA図書館」だ。1階から3階まで続く大きな壁面書架には見栄えの良い美術書や写真集が集められ、図書館はいつのまにか書店に、書架はいつのまにか商品棚になっていく。

これはもう、図書館を利用した新しい商売だな。無料で利用できる「図書館」は撒き餌みたいなもん。「図書館に書店とカフェを併設した」んじゃなくて、「書店にカフェと図書館を併設した」んだ。食器の触れ合う音。匂い。ざわめき。静けさからは程遠く、いまだかつてないほど落ち着かない。でもまぁ「図書館」だと思わなければアリなのかなぁ。私もつい一冊買っちゃったし……。