部屋と沈黙

本と生活の記録

カレンダー

セリアで来年のカレンダーを買う。

正方形のシンプルな壁掛けカレンダー。今も使っている同じシリーズのものをリピート購入した(2018年は休日がグリーンで印字されたものもある)。

冷蔵庫の側面に掛けて使用。書きやすく、水性ペンのインクもにじまない。
スケジュール帳にこだわった時期もあったけれど、職場には専用のスケジュール管理ソフトがあるし、プライベートでは暇人なので、100円ショップのカレンダーとスマートフォンだけで十分なことに気づいてしまった。

とはいえ、ポケットに小さいノートを持ち歩き、「パイ饅頭は焼いて食べるべし」とか「早朝の言い争い」とか「おじいちゃんの滑舌異国感」みたいな、カレンダーやスケジュール管理ソフトからも漏れてしまいそうなことを、日付と一緒に書いておく。そういうことはできるだけ忘れたくないと思う。


陶器市と猫

寄り道したイオンで陶器市が開催されており、予定外の出費。木製の汁椀と益子焼のカップ&ソーサー、信楽焼のプレートを色違いで2枚購入した。とはいえ、ほとんどが2割引から半額の品だから、全部で4000円いかないくらい。満足して帰る。

録画していたNHK Eテレの「ネコメンタリー」を観る。高層(高級)マンションに、猫の金ちゃん、銀ちゃんと暮らす作家、吉田修一49歳、独身。イームズのラウンジチェア、フランク・ロイド・ライトのテーブルランプ“タリアセン1”が配された3LDKくらいの部屋に書斎は見あたらず、ダイニングテーブルやソファに腰掛け、原稿に手を入れていく。傍らには猫2匹。
格好良すぎて目眩がする。仕事(創作)で成功し、お金があって、それをきちんと使い、そこはかとない色気を漂わせ、容姿も申し分ない。まじですんごい様になってる。
うちなんか概ねニトリダイソーだぜ〜と思いながら、いくら安物でも「とりあえず」の間に合わせで買うことはないし、物に対するこだわりは強い方なので、吉田修一宅の行き届いたインテリアに居心地の良さを感じた。今よりももっとお金がなかった学生の頃は「とりあえず」で間に合わせた物が部屋にたくさんあったから、なんというか、いつも気持ちが散らかっていたように思う。

ネコメンタリー 猫も、杓子も。吉田修一編は10月8日(日)18:30から再放送される。気になる方はぜひ。

カフェオレとノーベル文学賞

朝から音のない雨が降っている。

県立美術館で香月泰男の“愛情”マグカップを購入してから、カフェオレばかり飲んでいる。カップに注いだ牛乳を電子レンジで温めて、上から濃いめのコーヒーをドリップした、甘くないカフェオレ。

ノーベル文学賞カズオ・イシグロ。昨年のボブ・ディランといい、選考委員が一新したのかと思う結果だ。こういう表現は不本意だけど、この私でさえ知っていて、カズオ・イシグロの作品については何冊か読んだことすらある。
ノーベル文学賞といえば、玄人好みの重鎮に与えられるものだと勝手に思い込んでいた。たとえば、みすず書房白水社国書刊行会あたりの出版社が熱意を持って紹介するような。受賞者が発表されたものの、邦訳された作品の数が少ない、なんてことも往々にしてあったように思う。
それに比べれば、カズオ・イシグロの作品はほぼ邦訳され、文庫本にまでなっている。今回のノーベル文学賞がより身近に感じられるのはこのためだろう。7日現在、amazonでは軒並み在庫切れ。これをきっかけに、日本の海外文学シーンが盛り上がってくれるといい。

受賞理由からすると『わたしを離さないで』や『忘れられた巨人』あたりを示しているように思われるけれど、傑出しているのはやはり『日の名残り』だろう。ひとことで表すなら「老執事の遠まわり小説」で、語りが遠まわしなら、恋も遠まわり。自分のことすら遠まわしに眺め、延々とまわり道をした挙句、ある人との再会によってようやく自分自身に近づく。過ぎ去ってしまった日々に対する悲哀と、生真面目さから生まれる可笑しさがごっちゃになった結末がとてもいい。
アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされている。こちらはロマンスに焦点が当てられているせいか小説の印象とは少し違うけれど、一冊の本を介した息がつまるくらいの素晴らしいシーンがある。おすすめ。

受賞後のインタビューで村上春樹に言及したのもおもしろい(彼は“ムラカミさん”と呼んでいた)。さて、来年はどうなるか。
個人的には変わらず多和田葉子推しです。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)