部屋と沈黙

本と生活の記録

日々の連なり

平成と令和をまたぐ夢の10連休が終わり、日常が始まる。日常なんて、特筆すべきことのない日々の連なりなのかもしれない。

ある日の仕事始め。自分がどんな案件を持っていたか、すっかり忘れている。
晩ごはんにマクドナルドのダブルチーズバーガーセット。お肉とチーズの甘い感じ、ピクルスが好き。
実家で野菜をもらう。絹さや、キャベツ、青ねぎ、新玉ねぎ、いちご。定年後の父は畑にはまっている。
なんとなく、ものまね番組を観ながら絹さやの筋を取り、湯がく。優勝は霜降り明星。コロッケが感極まって泣いていた。冷蔵庫に入りきらない青ねぎの先は、キッチンバサミで輪切りにし冷凍。部屋がねぎくさい。

ある日の晩ごはんは焼きそば。
絹さや、新玉ねぎのスライス、シーチキンを、わさびごまドレで和えてみる。ほぼシーチキン味。
久しぶりにジムでお風呂。
大津で幼い子どもが巻き込まれる交通事故。子どもは未来そのものなのに。

ある日。
しっとりゆで卵の作り方(L玉)
1.鍋に水と冷蔵庫から取り出した卵を入れ、強火で沸騰させる。
2.大きな泡がグラグラし始めたら弱火にして5分。
3.冷水にとる。
ジムでバタフライのクラス。

ある日、図書館の郷土資料コーナーで、香月泰男の本を探す。何冊か見比べて、没後1年に開催された遺作展の図録を借りる。シベリヤ・シリーズだけでなく、故郷のことや版画、彫刻(おもちゃ)、陶画等も収録されていて、全体を見渡せそうな内容がよかった。
ジムでお風呂。

ある日、午前中にひと通りの家事を済ませ、買い物に出かける。近所の園芸店でイングリッシュ系ラベンダー「プラチナブロンド」の苗を買う。班入りの葉。
本屋さんに寄って3冊購入。
19時、ジムで泳ぐ。人が少なく快適。
夜、もらいもののウイスキー「山崎」でハイボールを作る。最近人気のハイボールだけど、良さがわからない。溶け残った氷でロック。度数の高いアルコールが喉に落ちていく感覚はいつもおもしろい。ただ、なんか鉛筆っぽい。木と炭、みたいな……。氷がやや溶け始めたくらいがいちばん美味しいかも。ウイスキーのあとはポップコーンを食べながらビール。

ある日、何をするにも手持ち無沙汰な気持ちになり、ほうれん草を茹でる。そのあと、ベーコンとキャベツ、新玉ねぎのスープを作り、たけのこご飯を仕込む。おかずは残りものの天つゆを使ってほうれん草を卵とじにしたけど、もう少し塩気があればよかった。
家から出ず録画していたドラマを観たり、本を読んだり。少し昼寝をして、早めにお風呂に入る。晩ごはんは豚肉の生姜焼き。チューブの生姜が古くなりそうだったから使ってみたけど、やっぱり物足りない。明日のお弁当用に1枚よけておく。
考えようによっては、これから毎週2連休なんだから。楽しみ。

2、1。

ゴールデンウィーク9日目は無為に過ぎ去った。こんな日もある。

ゴールデンウィーク最終日。ひと通りの家事を済ませ、スマートフォンのメモアプリに記したゴールデンウィーク中のToDoリストを消化していく。今日は「冬物の洗濯」と「NHKラジオ『歓待する文学』を聴く」のふたつ。

今年の1月から3月のあいだ、NHKラジオで放送されていた小説家・小野正嗣の『歓待する文学』。放送日が日曜日の早朝か土曜日の夕方だったこともあり、寝てるか忙しいかで、なかなか聴くことができなかったのだ。
今日は、村上春樹の『職業としての小説家』が取り上げられた第10回「翻訳は母語の可動域を広げる」をアプリで聴く。ちなみに、第10回は今日の15時に、第11回は5/13(月)の15時に配信が終了する。ぼやぼやしていられない。
『歓待する文学』の次に始まった『人とは何か アンドロイド研究から解き明かす』もおもしろそうで、テキストは購入済み……なのだが、なんというか常々「リアルタイムでバルスと言えないタイプの人間」だなと思う。だいたいいつも、みんなより遅い。ようやく私が「バルス!」と言えたころには、みんなはもう、何か別の素敵なものに夢中なのだ。

こころをよむ 歓待する文学 (NHKシリーズ)

こころをよむ 歓待する文学 (NHKシリーズ)

ToDoリストの消化率は70%ほど。とはいえ、残りは「昼からビール」とか「モビールを作る」とか、どうでもいいことばかりなので、概ね消化できたと言えるだろう。ただ、「本棚の整理」を終えられなかったのが悔やまれる。棚もやる気も足りないので、またしばらくはほったらかしになるだろう。

毎日が日曜日でも楽しく過ごせる才能はあるが、そのためのお金がない、と実感した10連休だった。明日からお仕事頑張ります。

萩・長門方面の美術館巡り(温泉付き)

気になっていた『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』展が山口県立萩美術館・浦上記念館で開催されているというので、萩焼まつりと、ついでに長門市香月泰男美術館にも行ってみようと思い立つ。

5月3日(金)晴天。まずは、明木市(あきらぎいち)周辺で開催されている萩往還まつりに立ち寄った。赤瓦屋根の民家の軒先に、陶器や布、木工作品が並べられている。直線距離で500メートルくらいだろうか。プロアマ混合の、地域の素朴なお祭りといった雰囲気。石造りの鳥居を見つけ、明木神社に寄り道する。


山口県立萩美術館・浦上記念館では、『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』展と『marimekko SPIRIT』展を同時開催中。チケット購入後、受付で順路の説明を受け、美術館クイズの用紙をもらう。

フィンランド陶芸展では、アラビアやイッタラにおけるプロダクト・デザインの素地ともなった、芸術としての陶芸作品が多数展示されている。「芸術」といいながら難解さがないのは、花瓶やボウル、水差しなど、生活に根ざした作品が多いからだと思う。美術品でありながら生活用品でもあるということが、何より素晴らしい。こういうところは、観る者としての力量を試されがちな絵画や彫刻と違う。
私が器を好きなのも、同じような理由だ。こんなにも美しいのに使える、これにつきる。誰でもごく自然に、気負うことなく、生活の道具としてただ使いさえすれば、美と暮らしを共にすることができる。とても手軽で、簡単だ。そういうところがいい。

マリメッコ・スピリッツ展は写真撮影も可。





ミュージアムショップでは、フィンランド陶芸展オリジナルの干菓子を買う。

ちなみにクイズの参加賞は、美術館の宣伝も兼ねた渋いクリアファイルだった。
フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』、『marimekko SPIRIT』は6/30(日)まで。

萩市民体育館で行われている萩焼まつりへ。“萩焼”といえば、“薄橙色の素朴なお茶碗”という印象があったけれど、今や様々な色、かたちがあり、伝統的なものからモダンなものまで幅広く作られているようだ。
人で溢れかえる会場をぐるっと見て回り、公信堂で碗を、白景山でカップを買う。どちらの器も、それひとつで絵になる華やかさ。



1ブース3000円以上の購入で参加できるスクラッチくじはハズレ。残念賞で萩の夏みかんキャンディーをひとつもらう。アタリが出たら、なんと萩焼がもらえたらしい。

ここまででそろそろ15時、いよいよお腹が空いたので、カフェコーナー〈純喫茶トランポリン〉にて、遅めのお昼ごはんとする。どうやら若い人たちが寄り集まって企画した限定カフェらしい。〈山道食堂〉のスパイスカレーと〈パニーニおじさん〉の夏みかんスカッシュを注文。美味しい。

香月泰男美術館には16時前に到着。閉館まで1時間と少し。本展『眺められるしあはせ』では、代表作のシベリア・シリーズとは一味違う、香月泰男が「眺められるしあわせのしるし」として描いた身の周りの風景や動植物などの作品が展示されている。

順路の途中で、来館記念のスタンプを発見。静かでこぢんまりとした、しみじみと良い美術館だ。6/6(木)から始まる『香月動物園』も観てみたい。


ミュージアムショップで購入したポストカードと、中庭のオブジェ。
アンケート記入のお礼に、鯰のポストカードももらう。

香月泰男美術館の向かいにある湯免ふれあいセンターで温泉に入る。料金は500円と、ロッカー代の10円。市営というからそれほど期待していなかったけれど、受付の方は親切だし、浴場も清潔で気持ちがいい。天井が高く、ステンドグラスから光が差し込んでくる。夕方の明るい時間に入る温泉は最高。

予定していた道の駅への寄り道は、軒並み閉店時間だったため断念。寝坊せず9時に出発していたら、と悔やまれる。

19時頃帰宅。まるで示し合わせたかのように、行く先々で「生活のなかの美」に触れた良い一日だった。

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」