部屋と沈黙

本と生活の記録

私が思うほど

気持ちが落ち込んだときに意識して取り組むこと。
作り慣れた料理をゆっくり作って食べること。
温かいスープを飲むこと。
食欲がなくても食べること。


近くもなく遠くもない友人が不本意なかたちで亡くなり、しばらくは喉がつかえるような感じと、動悸が続いた。中学生のころに習った平家物語の「諸行無常」という言葉に引っ張られて、永久不変なことなんてないんだろうと思っていたけれど、それは死だった。こうすればよかったとか、何を考えていたんだろうとか、そういう問いや願いみたいなものに、答えは与えられない。死は動かない。


私が思うほど、私は強くなかった。深く考えだすと、未だに動悸がする。でも、横に置いておけるようになった。テレビを見て笑いもする。それでいいんだと思う。

日々の連なり

平成と令和をまたぐ夢の10連休が終わり、日常が始まる。日常なんて、特筆すべきことのない日々の連なりなのかもしれない。

ある日の仕事始め。自分がどんな案件を持っていたか、すっかり忘れている。
晩ごはんにマクドナルドのダブルチーズバーガーセット。お肉とチーズの甘い感じ、ピクルスが好き。
実家で野菜をもらう。絹さや、キャベツ、青ねぎ、新玉ねぎ、いちご。定年後の父は畑にはまっている。
なんとなく、ものまね番組を観ながら絹さやの筋を取り、湯がく。優勝は霜降り明星。コロッケが感極まって泣いていた。冷蔵庫に入りきらない青ねぎの先は、キッチンバサミで輪切りにし冷凍。部屋がねぎくさい。

ある日の晩ごはんは焼きそば。
絹さや、新玉ねぎのスライス、シーチキンを、わさびごまドレで和えてみる。ほぼシーチキン味。
久しぶりにジムでお風呂。
大津で幼い子どもが巻き込まれる交通事故。子どもは未来そのものなのに。

ある日。
しっとりゆで卵の作り方(L玉)
1.鍋に水と冷蔵庫から取り出した卵を入れ、強火で沸騰させる。
2.大きな泡がグラグラし始めたら弱火にして5分。
3.冷水にとる。
ジムでバタフライのクラス。

ある日、図書館の郷土資料コーナーで、香月泰男の本を探す。何冊か見比べて、没後1年に開催された遺作展の図録を借りる。シベリヤ・シリーズだけでなく、故郷のことや版画、彫刻(おもちゃ)、陶画等も収録されていて、全体を見渡せそうな内容がよかった。
ジムでお風呂。

ある日、午前中にひと通りの家事を済ませ、買い物に出かける。近所の園芸店でイングリッシュ系ラベンダー「プラチナブロンド」の苗を買う。班入りの葉。
本屋さんに寄って3冊購入。
19時、ジムで泳ぐ。人が少なく快適。
夜、もらいもののウイスキー「山崎」でハイボールを作る。最近人気のハイボールだけど、良さがわからない。溶け残った氷でロック。度数の高いアルコールが喉に落ちていく感覚はいつもおもしろい。ただ、なんか鉛筆っぽい。木と炭、みたいな……。氷がやや溶け始めたくらいがいちばん美味しいかも。ウイスキーのあとはポップコーンを食べながらビール。

ある日、何をするにも手持ち無沙汰な気持ちになり、ほうれん草を茹でる。そのあと、ベーコンとキャベツ、新玉ねぎのスープを作り、たけのこご飯を仕込む。おかずは残りものの天つゆを使ってほうれん草を卵とじにしたけど、もう少し塩気があればよかった。
家から出ず録画していたドラマを観たり、本を読んだり。少し昼寝をして、早めにお風呂に入る。晩ごはんは豚肉の生姜焼き。チューブの生姜が古くなりそうだったから使ってみたけど、やっぱり物足りない。明日のお弁当用に1枚よけておく。
考えようによっては、これから毎週2連休なんだから。楽しみ。

2、1。

ゴールデンウィーク9日目は無為に過ぎ去った。こんな日もある。

ゴールデンウィーク最終日。ひと通りの家事を済ませ、スマートフォンのメモアプリに記したゴールデンウィーク中のToDoリストを消化していく。今日は「冬物の洗濯」と「NHKラジオ『歓待する文学』を聴く」のふたつ。

今年の1月から3月のあいだ、NHKラジオで放送されていた小説家・小野正嗣の『歓待する文学』。放送日が日曜日の早朝か土曜日の夕方だったこともあり、寝てるか忙しいかで、なかなか聴くことができなかったのだ。
今日は、村上春樹の『職業としての小説家』が取り上げられた第10回「翻訳は母語の可動域を広げる」をアプリで聴く。ちなみに、第10回は今日の15時に、第11回は5/13(月)の15時に配信が終了する。ぼやぼやしていられない。
『歓待する文学』の次に始まった『人とは何か アンドロイド研究から解き明かす』もおもしろそうで、テキストは購入済み……なのだが、なんというか常々「リアルタイムでバルスと言えないタイプの人間」だなと思う。だいたいいつも、みんなより遅い。ようやく私が「バルス!」と言えたころには、みんなはもう、何か別の素敵なものに夢中なのだ。

こころをよむ 歓待する文学 (NHKシリーズ)

こころをよむ 歓待する文学 (NHKシリーズ)

ToDoリストの消化率は70%ほど。とはいえ、残りは「昼からビール」とか「モビールを作る」とか、どうでもいいことばかりなので、概ね消化できたと言えるだろう。ただ、「本棚の整理」を終えられなかったのが悔やまれる。棚もやる気も足りないので、またしばらくはほったらかしになるだろう。

毎日が日曜日でも楽しく過ごせる才能はあるが、そのためのお金がない、と実感した10連休だった。明日からお仕事頑張ります。