部屋と沈黙

本と生活の記録

いつか来る火曜日に向けて

“昨日は月曜日だった。そして今日は、やはり月曜日だ。”

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午後5時。向井秀徳による「夕焼け小焼け」独唱から NUMBER GIRL「日常に生きる少女」が始まった瞬間、えも言われぬ感情に襲われ、涙腺のゆるい全米並みに泣いてしまった。なんでだろう、去年3月にZepp Tokyoから無観客で配信されたナンバガのワンマンでは泣いたりなんかしなかったのに。

彼らが解散して以降も私の思春期と分かち難く結びつき、ことあるごとに繰り返し聴いた音楽だ。寒気がするほどかっこいい。私は知っている。ずっと聴いてきたんだから。にもかかわらず、にわかには信じられないことが起こった。

聴いたことがない曲をやっている。

まさかの取りこぼしか?あり得る、ものぐさな私なら大いにあり得る。思わず、手元にあった“OMOIDE IN MY HEAD4 珍 NG & RARE TRACKS”をひっくり返す。……ない、ないぞ「ハイスイカン」なんて。「排水管」?

ナンバガともザゼンとも言い難い雰囲気のそれはどうやら新曲らしい。新曲。……新曲?信じられない……。

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NUMBER GIRLについて書くことは、自分自身について書くことに限りなく近い。“思春期特有の伏せておきたい具体的エピソード”というよりも、もっと抽象的な、私が今も17歳のころの自分を捨てられずにいる、というようなことだ。自画像を描こうと思えば鏡が必要だろう。私はまだ、NUMBER GIRLを書くための鏡を見つけられないでいる。

もう日付が変わりそうだから、今日はここまでにしよう。書きたいことがたくさんある。ナンバガザゼンもそうだけど、このあいだのASPARAGUSの配信ライブだって、私には書きたいことがたくさんある。そのせいで、いつもうまくまとまらない。

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ソリューションないしコンセンサス

カーテンでは遮ることのできない晴れの日の光で目が覚めた。今日は、朝から冷蔵庫のなかのバターのことばかり考えている。銀色の紙に包まれたつやつやのバター1本200g。「バターはすべてを美味しくする!」と言ったのはレイチェル・クーだったか。きのう、「やろう」じゃなく「やりたい」ならば何をしたいかと自問し、近所のスーパーで買ってきたのだ。

バナナのスコーンを作りたい。それから、いつもは戸棚の奥に仕舞い込んでいるケメックスでコーヒーを淹れたい。もちろんその前にお昼ごはんが食べたい。

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フライパンを傾けてオリーブオイルのたまりを作り、にんにくを揚げ焼きにする。パスタを作るときの、この過程がいちばん好きだ。「おいしそー!!!」と思う。

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トマトとアスパラガスのパスタ。結局、パスタは洋風焼きそばみたいなものだ。料理がさほど得意じゃない私でも作ることができる。「私、パスタくらいしか作れなくて……」は「私、焼きそばくらいしか作れんよ」と同程度の意味合いである。ただ、焼きそばと同じくらい手軽なのに、焼きそばよりも料理ができ“そう”な雰囲気を醸し出すことができる。たぶん、カタカナだから。ほら、ソリューションとかコンセンサスとかさ、仕事できる“風”じゃん。それと同じ。

おなかがいっぱいになり、一時「スコーンを作りたい」という欲望が失われそうになったものの、午後二時には復活。三時のおやつにむけてバナナのスコーンを焼く。

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バナナの良い匂い。美味しいけれど、なんだかふくらみが足りなかった……。

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ケメックスのコーヒーメーカーは、不思議なかたちの濾過紙を折り込んで使う。柳宗理のエッセイでは、宗理の父の宗悦が、イームズ夫妻の自宅でコーヒーを振る舞われたときのエピソードとともに紹介されている。ちなみに、スコーン作りで使ったステンレスボウルは柳宗理がデザインしたもの。どちらも美しい道具だ。

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機能的には、いずれも100円ショップで手に入れることができる。私も100円ショップが好きだ。でも、美しい道具には機能以上の“何か”がある。その“何か”を自分のそばに置き、使ってみたくて、20代のころから少しずつ買い集めてきた。

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最近100円ショップで買ったのは、くまのキッチンタイマー
先代のりんごを水没させて半年、ようやく可愛いのを見つけた。

「料理が得意じゃない」なんて、本当は言い訳なのよ。久しぶりに作ったスコーンが上手くふくらまなかったように、何事もやってみて、続けてはじめて上手くなる。なにしろ本が好きだから、料理本だっていっぱい持っていることを思い出した。

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“読み専”なんてぬるいこと言わずに作ってみようか。そうすれば好きな料理本を紹介できるし、続けていれば料理が得意になるかもしれない。なにより「ブログに書く」という口実のもと、新しい料理本が買える……(°▽°)!

かたちから入るタイプなので、さっそく〈料理〉カテゴリを増やしてみた。飽き性だから頑張って続けよう……いや違う、始めたい!続けたい!素敵な料理本をいっぱい買いたい!!!

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

  • 作者:柳 宗理
  • 発売日: 2011/02/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

今週のお題「おうち時間2021」

Gordon

今日はもう、涙が出そうなくらい不毛な1日だった。午後、今日というこの日を不毛な1日にしてはならぬとーー

なんだか、今すぐにでもGW最終日の日記が書けそうである。たとえば「やろうやろうと思っていたことの半分もできずに、今年のゴールデンウィークが終わろうとしている」みたいな。

ていうか、なんで「不毛な1日にしてはならぬ」のか。いいじゃんね、別に毛がなくても。洗濯も、掃除だってしたし、洗ってから干しておいた牛乳パックをハサミで切って開いたし、無料の地域情報紙から「お花の育て方のコツ」を切り抜いて冷蔵庫にとめ、たまった雑紙はひとつに縛ってまとめたよ。現状維持も成果でしょ。

「やろう」よりも「やりたい」ほうが、きっと前へ進みやすい。ToDoリストへ書き込む前にやってしまうようなこと。

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もう眠い。ほかに書くこともないので、下書き用のメモに残っていた幼いころの甥っ子の話をコピペしておく。

以前、甥っ子と『きかんしゃトーマス』の絵本で名前当てゲームをしていたとき、なぜかゴードンのイントネーションだけがネイティブっぽくて笑ったことがある。

私「これは?」
甥っ子「とーましゅん!」
私「うん。じゃあ、これは?」
甥っ子「ッぱーしー!」
私「おーすごい!じゃ、これは?」
甥っ子「Gordon」
私「えっ、……」
甥っ子「Gordon」

あれはなんだったんだろう。舌ったらずな感じが上手く作用したのだろうか。

今週のお題「おうち時間2021」