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部屋と沈黙

本と生活の記録

赤ペン先生に言いたい

日常的に図書館で本を借りていると、いろいろな痕跡に遭遇する。料理本に食べ物系のシミがあるのはまぁ可愛いほうで、ちょっと複雑なのは栞の端の玉結びだ。その結ばれ具合をみても、図書館側の運用だとは考えにくい。となれば、読んだ本が一目で分かるよう…

賭けるか、賭けないか

『職業としての小説家』が、あっというまに文庫化されている。奥付を見ると、単行本の発行はちょうど一年前。朝日新聞折り込みのGLOBEでも村上春樹の特集をしていたし、今年のノーベル文学賞に合わせているのだろうか?短篇もエッセイも、どちらかといえば好…

それはすべて同時に起こる、起こっている、起こった『淵の王』

舞城王太郎 ※当記事は、物語の内容、構成に関しての言及があります。先入観を持って読んでしまうにはもったいない作品だと思いますので、「こいつ勝手なこと言いだしたな」と感じたら、薄目でざらっと読みとばしてください。私は概ねそういうふうに〈先入観…

そういえば羽田圭介がいた

母が図書館で借りてきた本のなかに、羽田圭介の『黒冷水』があった。『スクラップ・アンド・ビルド』で芥川賞を受賞し、「又吉じゃない方」としてメディアに登場した男。普段の読書傾向から考えると手に取りそうもない作品なのに、そこはミーハーでテレビっ…

日々の漱石

木曜日、『門』完結。105年ぶりの再連載は全104回、廃品回収のせいで1、2回分の読み落としはあるものの、とりあえずは読んだと言えるだろう。なんともつかみどころのない話だった。それが新聞連載だからなのか、1回1回のあいだに個人的な日々の生活が割り込…

インする

手のひらの文学青年「山本くん」をガチャる。山ほど本を読むから「ヤマホン」くんなんだそうだ。フィギュア付きのブックマークで(文庫本にぴったり)、ひとつ二百円全五種。私のは、傘をさした〈鍵穴の風景〉だった。ねらってたのは寝っころがってる〈月の…

むきだしの問い

「ピースの又吉直樹さん、史上初の快挙です!」アナウンサーのはずんだ声で又吉の受賞を知る。最近の芥川賞といえば、読んでもなんやようわからんかったり、横書きだったり、言い回しが独特だったりして、癖のある作品が多い気がしていたから、わりとまっと…

ふつうにしてても

サブキャラを作ってしまった ……はっ! 気づいたら――いや気づいてたけど、このあいだから『とびだせ どうぶつの森』ばかりしている。帰郷 - 部屋と沈黙せめて昼休みくらいは本を読もうと、フラナリー・オコナーの『烈しく攻むる者はこれを奪う』をかばんに入…

母の偉大さ

又吉直樹の『火花』は「難しい」とうちの母が言っていた。amazonなんかではくさすレビューが多いものの、〈難しい〉という評判は聞いたことがなかったし、私自身もとくに難しいとは思わなかった。聞くと、作中の小ネタが分からないと言う。たとえば〈カノン…

『ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン』

Novel 11,Book 18 ダーグ・ソールスター/村上春樹訳 中央公論新社聞きしに勝る変な小説だった。もとはノルウェイ語だからか地名、氏名に馴染めず、コングスベルグという文字を覚えるためにまず繰り返した。コング、ス、ベルグ、コ、ン、グ、ス、べ、ル、グ…

『パリ行ったことないの』

山内マリコ フィガロブックス十年間、フィガロジャポンを定期購読しているあゆこはそれでもパリへ行ったことがない。「猫飼ってるから」あゆこの言い訳で小説の中の〈彼ら〉は納得する、ことにびっくりする。「猫を飼っていること」が「パリへ行くこと」の代…

『マンスフィールド・パーク』

★★★☆☆ 『マンスフィールド・パーク』まとめ 1. 読みにくいが、分かりやすい娯楽小説 2. 性格に難あり 3. 減点主義者の愛 1. 読みにくいが、分かりやすい娯楽小説 もってまわったような文章(訳文)がやや読みにくいが、ストーリーは単純で分かりやすい。貧し…

小確幸と大爆発

小確幸 〈しょうかっこう〉 (名詞)小さいけれど確かな幸福のこと。村上春樹氏が作って広めた。 (例文)冬の夜に猫が布団に入ってくる瞬間が私の小確幸だ。 うちに帰って、お酒を飲みながら本を読むのが私の小確幸。大抵は図書館で借りた本を読む。マルケ…

洗練された〈死にゲー〉アウターワールド

実験装置に起こったアクシデントによって異世界へ飛ばされてしまったレスター教授があっさり死にまくるアクション系脱出ゲーム〈アウターワールド〉。マリオのAジャンプ、Bダッシュに親しんでいる身としては、AダッシュにBジャンプであること自体がすでにス…

『ダンジョン飯』1

九井諒子 BEAM COMIXたとえばナマコとかウニとかイカとかカキとか、あんな宇宙生物みたいなやつらをよう食べたな、食べようと思ったよな。そりゃあ大きく見ればみんなが宇宙の生き物だけど、それにしてもなんて美味しいんだろうウニ!イカ!もしかしたら今日…

『プラトニック・プラネッツ』

雪舟えま メディアファクトリー今も彼のことを元彼と呼べずにいる。別れの言葉もその兆しもないまま、開いていた扉が閉じるみたいに、とにかく駄目になったのだ。彼の父親は治る見込みのない病気を患っていた。私は心配し、何も言ってくれない彼に怒り、悲し…

『ムーミンやしきは ひみつのにおい』

トーベ・ヤンソン『ムーミンやしきは ひみつのにおい』 ほんとに「ヌフッ!」って言ったのか

『アズミ・ハルコは行方不明』

山内マリコ 幻冬舎「地方都市に戻って来た文化系くずれ」の一人として読む。女の子は哀しい。「JK」ともてはやされ、太ももはパツパツ、屈強な警察官でさえ彼女たちには敵わない。ギャングのように強くて奔放。愛菜も春子も、かつてはそんな最強の女子高生だ…

『コールド・スナップ』

トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』 絶望の袋小路にあるエデン