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部屋と沈黙

本と生活の記録

『アズミ・ハルコは行方不明』

f:id:roomandsilence:20141108142944j:plain:right山内マリコ 幻冬舎

「地方都市に戻って来た文化系くずれ」の一人として読む。女の子は哀しい。

「JK」ともてはやされ、太ももはパツパツ、屈強な警察官でさえ彼女たちには敵わない。ギャングのように強くて奔放。愛菜も春子も、かつてはそんな最強の女子高生だったはずなのに、好きな人には「すぐヤラせてくれる」と蔑まれ、存在自体がセクハラのおやじ共には「三十五歳過ぎたら女もおしまいだな」とか「結婚できないなんて、動物として優れてない証拠だよ」とか、言われ続けている。

ある女の子はフランス国籍の恋人と「結婚」して、クソみたいな現実から脱出した。結婚、結婚、結婚。じゃあ私は?選ばれなかった私たちは、どこへ行けばいいの?

『ここは退屈迎えに来て』に続く、山内マリコ初の長篇『アズミ・ハルコは行方不明』は、ここからいなくなりたい女の子たちを肯定する。ムカつく現実から逃亡することへの許しがある。この携帯電話を捨てて逃げてしまえば私はいつだって自由になれると、死にたいくらいの寂しさを感じながらも心の底から安心できたことを思い出した。逃げてもいい、何もかも捨てて行方不明になったとき、私は私を見つけ出すことができる。

とはいえ、すべてのきっかけはユキオや曽我氏ら「男」なのが悔しくって、やっぱり、女の子は哀しいと思う。


おまけ
本作を取り上げた「いいんちょと愉快な鼎談」という、Ustreamの番組が面白かった。何より羨ましい。私には本についておしゃべりできるような友人がいないから、いつも自分とばっかり話している。