部屋と沈黙

本と生活の記録

『ダンジョン飯』1

f:id:roomandsilence:20150117200044j:plain:right九井諒子 BEAM COMIX

たとえばナマコとかウニとかイカとかカキとか、あんな宇宙生物みたいなやつらをよう食べたな、食べようと思ったよな。そりゃあ大きく見ればみんなが宇宙の生き物だけど、それにしてもなんて美味しいんだろうウニ!イカ!もしかしたら今日の素敵な食文化も〈ダンジョン飯〉みたいな越境の延長線上にあるのかもしれない。

前作で〈竜食〉〈記号食〉を描いた九井諒子が『ダンジョン飯』で描くのは〈モンスター食〉。スライムやらバジリスクやらマンドレイクやらを屠っては食べる異色のグルメ漫画だ。丁寧に解説される調理法や本格的なレシピが全く役に立たないうえ、なぜだろう、たいして美味しそうでもない。

でもスライムはたぶん食べられる。おもちゃコーナーで売られているスライムに〈※食べられません〉って書いてあるのは、すなわち食べられそう、食べられるかもしれないってことなのだから(※食べられません)

帯に〈初の長編作品〉とあるから〈物語〉を期待してたんだけど、どちらかといえば連作、長期連載のギャグ漫画かな。ネットでの評判は上々。個人的には、神話やSF、ファンタジーがごちゃまぜになったこれまでの作品集が大好きなので、〈モンスター食〉という一つの切り口しか見ることができないのを少しだけ残念に思っている。

好きな順に並べるなら――

ひきだしにテラリウム

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九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

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竜の学校は山の上 九井諒子作品集

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