物が多い物が多いと思っていたけれど、まさかフードプロセッサーまであるとは思わなかった。アイスクリームメーカーの横の〈NECパソコンお買い上げ記念品〉シールが貼られたかき氷機の箱の隣に、それはあった。
なんでも「使わないから」という祖母からもらってきたものを、使わないから仕舞っておいたという。くたびれきった箱の中のフードプロセッサーは、新品同様なのに妙に古臭い。保証書のお買い上げ日を見ると、02.12.22の印がついてある。「いつか使うかも」の「いつか」が、十二年越しにやってきたのだった。
というわけでレモンクッキーを作る。〈みんなのきょうの料理〉で公開されている、いがらしろみのレシピ。フードプロセッサーならあっというまに作れる、とあるが――
生地がこの状態になるのに、およそ一分。使い終わった後の洗いものの面倒くささを差し引いてもおつりがくるよ。こんな文明の利器がすぐ近くにあったなんて、今まで何だったんだ。便利すぎて笑っちゃったよ。
お手本のような薄焼きにはならなかったけど、初めてにしては上出来だ。味については甘すぎるかな、とも思う。いちばん好きなクッキーのレシピとくらべてみると、まず生地の中の砂糖が多いし、レモンが入っているとはいえアイシングもするんだからさらに甘い。どちらかというとバター寄りのクッキーが好きなので。
普段は紅茶だけど、今日はブラックコーヒー。