部屋と沈黙

本と生活の記録

本を切符にして

ブランケット・シティは毛布をかぶった小さな街。主な交通手段は街の中心を走る環状鉄道〈ブランケット・ドミノ・ライン〉です。〈デイリー・ブランケット〉紙に連載中のコラム『ブランケット・ブルームの星型乗車券』をたよりに街を歩けば、一般的なガイドブックとはひと味違った旅になるはず。街の祭日である〈毛布を干す日〉には、家々の軒先に色とりどりのブランケットが干され、訪れた人々の目を楽しませますーー。

ブランケット・シティに住みたい。

吉田篤弘『ブランケット・ブルームの星型乗車券』を読み終わってからも、この気持ちは大きくなるばかりだ。
〈ブランケット・ドミノ・ライン〉を乗り継ぎ、街頭芝居の『DOORS』を観て、本好きのための酒屋〈グラスと本〉でお酒と小説を買う。ロビーだけがのこされたホテル〈バビロン〉で待ち合わせ、毎週日曜日に旧市街で開かれるガラクタ市へ。街の〈発券所〉で「走ってもいない列車の乗車券」や「上演されるあてもない芝居の座席指定券」のような、「意味のない」あるいは「純粋な」美しいチケットを買ってもいい。このチケットに書かれていることは、もしかしたらありえるかもしれない、ありえたかもしれない未来なのだから。

『ブランケット・ブルームの星型乗車券』が、私のブランケット・シティ行きのチケットになる。

今週のお題「行ってみたい場所」