部屋と沈黙

本と生活の記録

キッチンバサミのポテンシャル

切れ目の入っていないピザを包丁で切り分けるのが面倒で、試しにキッチンバサミを使ってみたら、思いのほか上手くいった。

キッチンバサミのポテンシャルは高い。

そう気がついたのは、料理上手の友人がキッチンバサミで小葱を切り、そのまま汁椀のなかへ落としているのを目撃したときのこと。以来、キッチンバサミの虜である。ハサミなんだから〈葱が切れること〉くらい分かるはずなのに、〈葱を切ってもいいこと〉には長いあいだ気がつかなかった。

今ではお肉も切るし、野菜も切る。切りながら、そのまま鍋のなかへ入れてしまう。

日常学事始

日常学事始

荻原魚雷の『日常学事始』には、几帳面な怠け者のための家事の心得が書かれている。毎日いれるお茶のこと、洗濯ネットのこと、作るのをやめた料理のこと。
山川直人のカバーイラストもいい。この人の描く生活の風景が好きだ。

ちなみにその友人には、魚焼きグリルで食パンをトーストしたっていいことも教わった。私は本当に、本当に長いあいだ、グリルの横の魚マークに惑わされていたのだ。