切れ目の入っていないピザを包丁で切り分けるのが面倒で、試しにキッチンバサミを使ってみたら、思いのほか上手くいった。
キッチンバサミのポテンシャルは高い。
そう気がついたのは、料理上手の友人がキッチンバサミで小葱を切り、そのまま汁椀のなかへ落としているのを目撃したときのこと。以来、キッチンバサミの虜である。ハサミなんだから〈葱が切れること〉くらい分かるはずなのに、〈葱を切ってもいいこと〉には長いあいだ気がつかなかった。
今ではお肉も切るし、野菜も切る。切りながら、そのまま鍋のなかへ入れてしまう。
- 作者: 荻原魚雷
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2017/07/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
荻原魚雷の『日常学事始』には、几帳面な怠け者のための家事の心得が書かれている。毎日いれるお茶のこと、洗濯ネットのこと、作るのをやめた料理のこと。
山川直人のカバーイラストもいい。この人の描く生活の風景が好きだ。
ちなみにその友人には、魚焼きグリルで食パンをトーストしたっていいことも教わった。私は本当に、本当に長いあいだ、グリルの横の魚マークに惑わされていたのだ。