部屋と沈黙

本と生活の記録

萩・長門方面の美術館巡り(温泉付き)

気になっていた『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』展が山口県立萩美術館・浦上記念館で開催されているというので、萩焼まつりと、ついでに長門市香月泰男美術館にも行ってみようと思い立つ。

5月3日(金)晴天。まずは、明木市(あきらぎいち)周辺で開催されている萩往還まつりに立ち寄った。赤瓦屋根の民家の軒先に、陶器や布、木工作品が並べられている。直線距離で500メートルくらいだろうか。プロアマ混合の、地域の素朴なお祭りといった雰囲気。石造りの鳥居を見つけ、明木神社に寄り道する。


山口県立萩美術館・浦上記念館では、『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』展と『marimekko SPIRIT』展を同時開催中。チケット購入後、受付で順路の説明を受け、美術館クイズの用紙をもらう。

フィンランド陶芸展では、アラビアやイッタラにおけるプロダクト・デザインの素地ともなった、芸術としての陶芸作品が多数展示されている。「芸術」といいながら難解さがないのは、花瓶やボウル、水差しなど、生活に根ざした作品が多いからだと思う。美術品でありながら生活用品でもあるということが、何より素晴らしい。こういうところは、観る者としての力量を試されがちな絵画や彫刻と違う。
私が器を好きなのも、同じような理由だ。こんなにも美しいのに使える、これにつきる。誰でもごく自然に、気負うことなく、生活の道具としてただ使いさえすれば、美と暮らしを共にすることができる。とても手軽で、簡単だ。そういうところがいい。

マリメッコ・スピリッツ展は写真撮影も可。





ミュージアムショップでは、フィンランド陶芸展オリジナルの干菓子を買う。

ちなみにクイズの参加賞は、美術館の宣伝も兼ねた渋いクリアファイルだった。
フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』、『marimekko SPIRIT』は6/30(日)まで。

萩市民体育館で行われている萩焼まつりへ。“萩焼”といえば、“薄橙色の素朴なお茶碗”という印象があったけれど、今や様々な色、かたちがあり、伝統的なものからモダンなものまで幅広く作られているようだ。
人で溢れかえる会場をぐるっと見て回り、公信堂で碗を、白景山でカップを買う。どちらの器も、それひとつで絵になる華やかさ。



1ブース3000円以上の購入で参加できるスクラッチくじはハズレ。残念賞で萩の夏みかんキャンディーをひとつもらう。アタリが出たら、なんと萩焼がもらえたらしい。

ここまででそろそろ15時、いよいよお腹が空いたので、カフェコーナー〈純喫茶トランポリン〉にて、遅めのお昼ごはんとする。どうやら若い人たちが寄り集まって企画した限定カフェらしい。〈山道食堂〉のスパイスカレーと〈パニーニおじさん〉の夏みかんスカッシュを注文。美味しい。

香月泰男美術館には16時前に到着。閉館まで1時間と少し。本展『眺められるしあはせ』では、代表作のシベリア・シリーズとは一味違う、香月泰男が「眺められるしあわせのしるし」として描いた身の周りの風景や動植物などの作品が展示されている。

順路の途中で、来館記念のスタンプを発見。静かでこぢんまりとした、しみじみと良い美術館だ。6/6(木)から始まる『香月動物園』も観てみたい。


ミュージアムショップで購入したポストカードと、中庭のオブジェ。
アンケート記入のお礼に、鯰のポストカードももらう。

香月泰男美術館の向かいにある湯免ふれあいセンターで温泉に入る。料金は500円と、ロッカー代の10円。市営というからそれほど期待していなかったけれど、受付の方は親切だし、浴場も清潔で気持ちがいい。天井が高く、ステンドグラスから光が差し込んでくる。夕方の明るい時間に入る温泉は最高。

予定していた道の駅への寄り道は、軒並み閉店時間だったため断念。寝坊せず9時に出発していたら、と悔やまれる。

19時頃帰宅。まるで示し合わせたかのように、行く先々で「生活のなかの美」に触れた良い一日だった。

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」