部屋と沈黙

本と生活の記録

こんにゃくブラックタピオカの悲哀

「どうせなら、タピオカミルクティーを飲む人生にしたい」

今になってようやく年始の目標を思い出し、生まれて初めて、かの黒い丸を飲んでみようと思い立つ。

美味しいものは大好きだが、味覚に関しては保守的で、タピオカには“美味しそうさ”を見出すことができなかった。だって“黒い丸”だよ?「もちもちしてて美味しかった」「でんぷんだからカロリーが高いらしいよ」という知人らの言葉を聞き流し、生きてきた。

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栄養成分表示によると「エネルギー」は「150kcal」。そんな、いうほどのカロリーでもないなと不思議に思いながら「原材料名」に目を移す。

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こんにゃくブラックタピオカ(こんにゃく粉)?こんにゃく?なんか専用の芋があるんじゃないの?そりゃ、こんにゃくも芋なんだろうけどさ。

調べてみると、どうやらコンビニで販売されている「タピオカミルクティー」には、こんにゃく粉を原料とするタピオカ似のこんにゃく玉が使用されているらしい。よってローカロリー。つまり、こいつはこんにゃくであって、タピオカではない。

……じゃあ、みりん風調味料みたいに、タピオカ風ミルクティーって言え!

ニュースバラエティがこぞってタピオカを取り上げても、黒い丸になんか全然興味が湧かなかったのに、こうなったらもう、どうしてもタピオカミルクティーが飲みたい。それも、史上最高のタピオカミルクティーが飲みたい。

ならば飛行機で台湾へ行き、本場のタピオカミルクティーを飲む。飲んでやる。そうすれば「飛行機に乗る人生にしたい」という、もうひとつの目標も最短距離で達成できる。これこそが“ライフワーク”だ。

最後に、こんにゃくブラックタピオカへ。

こんなの、人違いをした本人が「お前、似すぎ!」などと理不尽に腹を立てているだけだから、気に病む必要は一切ない。そもそも販売店の○ーソンによって、自身のアイデンティティとは微妙に異なる制服を着せられ、一律に並べられたのだ。

自分以外の何者かになれと言われるのはつらいよな。よく分かる。だからこそ、そんなもんは、その辺の側溝にでも捨てちまえ。

「おれはタピオカじゃない」と言え!自信を持って「おれはこんにゃくだ」と言え!そのほうがかっこいいよ。お前はお前であるべきだ。