部屋と沈黙

本と生活の記録

野っ原で踊る酔っ払い

フルカワユタカの『オンガクミンゾク』、第一回目のゲストは髭の須藤寿。髭のことは、なぜか、あの髭面のロゴだけを知っていた。24、5の頃に勤めていた本屋さんの、バイトリーダーのスマートフォンに髭のステッカーが貼られていて「髭聴くんだ、意外だな」などと、聴いたこともないくせに分かったような気になっていたのを思い出す。その頃はまだ若くて、たまに音楽誌を読んでいたから、ただ、なんとなく覚えていたのだ。

あれからおよそ10年を経た昨日、7月31日、歌う須藤寿を初めて観て、なんだか、ひなたの野っ原みたいな人だなと思った。配信後、目がしぱしぱしてもう眠たいのに、深夜3時過ぎまで眠らず、Amazon musicに公開されたアルバム『ねむらない』を繰り返し聴いていた。ひらがなのタイトルと言葉、リード曲に惹かれて。

須藤寿のソロにペトロールズの長岡亮介がいたり、なんならフルカワユタカを知ったきっかけもそうだけど、音楽業界が狭いんだかなんなんだか、地引網漁的にぞろぞろ引っかかって、すべて、私が好きなものと繋がっている。不思議だ。あと、フルカワユタカに髭があって、髭の須藤寿に髭がないことも。

ちなみに次回のゲストはthe band apartの原さん。もう、地獄の底からすんごい楽しみ。

それから、このブログを読んでくださっている奇特な方々に、折り入って大切なお知らせがある。以前、「いい夫婦の日」に抜けなかったワインのコルクのことを覚えていらっしゃるだろうか。

11/22に諦めた赤ワインは、いつか私と結婚する人にコルクを抜いてもらおうと思う。もしくは、このコルクを抜いた人と人生を共にする。
んー、我ながら気色悪いな……。

「気色悪い」と言いながら、一方で「ちょっとロマンチックで良いじゃん〜!」などと、実は思っていたのだ。恥ずかしながら、こと恋愛に関してはミーハーなの。その、私の運命を背負ったコルクを抜く人が現れた。しかも、ついさっき。

……そう、私だ。くそ、ばればれか。私だよ!最近、おなかの調子が悪くてずっと断酒&お湯ばっかり飲んでたんだけど、ようやく上向いて、どうしてもお酒が飲みたかったのだ。冷蔵庫にあるのは日本酒ベースの梅酒(甘い)と、檸檬ベースのリキュール(甘い)で、甘いお酒はジュースだからお酒とは違う(お酒です)。

その「今から出かけるのは面倒くさいけど甘くないお酒が飲みたい」という、強い欲望としょうもない底力が私を突き動かしたのだ。コルクが抜けるそのとき、祝祭みたいな音が高く鳴り響いた。私と人生を共にするのは私だよ、ばかやろう!知ってるよ、そんなこと。

久しぶりに、とても気持ちよく酔っ払っている。アーカイブで昨日の「テキーラテキーラ!」を聴きながら、誰が神様でも良い気分になっていた。