金曜日に有給休暇を取って、山口県立美術館で開催されている『奇才 江戸絵画の冒険者たち』展へ行ってきた。
前回のハマスホイ展と同様、入館時に問診票の記入や検温、アルコール消毒があったけれど、ずいぶんシステマチックになっていて、検温はスマートフォンみたいな機械の前に立つだけだし、アルコールなんか、手をかざせばシュっと出てくる。技術ってすごい。
企画展としては、やや大人しめ。“奇才”と称しながらも展示は地域ごとで(京都、大阪、江戸、諸国)、せっかくのテーマがぼやけているように感じた。資料集的な展示方法がテーマと合っていないというか……。たとえば「地域」じゃなく「とち狂ってるところ」で分類したほうが、より“奇才”感あふれる展示になったんじゃないかな。「とち狂ってるところ」は技巧的な部分でもいいし、ひょうきんな顔をした動物たちでもいい。
個人的には、あいうえお順に並べられた本棚の検索性よりも、文脈にそって並べられた本棚全体の関係性に面白味を感じる。私は素人で、素人だからこそ、新しい見方、見え方を見たい。
もし資料集的な展示にするんだったら、もっと量を集めて圧倒させてほしい。多すぎてへとへとになるのはおもしろいし、それこそ最高にとち狂ってる。
ともあれ、今まで気がつかなかったけれど、いちばんの“奇才”は葛飾北斎なのかもな。「写実の極み」みたいな美しい小品もあれば、『東町祭屋台天井絵 鳳凰図』のような凄まじい肉筆画もある。……何かが引っかかる。その極彩色だけじゃなくて、なんだろう?細部は緻密なのに、全体は歪なような。
世間的に“奇才”として知られる伊藤若冲には、そういう“ちぐはぐさ”がないのよ。とにかく巧い。デフォルメされていても、おもしろい顔の虫やらカエルやらを描いていても、線に何のてらいもなく、細部も全体も緻密な上で、完璧な均衡を保ってる。
「巧さ」の上に「巧さ」を上乗せする奇才と、「巧さ」の上に「歪さ」を上乗せする奇才。「歪さ」は「巧さ」をぶち壊しかねない。だからこそ、それらを同時に持ち合わせることができたら、観る者の襟首を掴むほどの狂気的な引力を手に入れられるのかもしれない。
若冲は大学生のころにも観てる
紫陽花双鶏図、猛虎図、たしか図録は実家にあったはず……
少し物足りなくはあったけれど、髙井鴻山の妖怪図はおもしろかったし、耳鳥斎の十二か月図にはめちゃくちゃおりこうに正座してお茶飲んでる鬼がいて笑ったし、尾形光琳の竹虎図も、着物に描き込まれた鹿とか都鳥の柄も、可愛かったなぁ。出品目録を見ると、頻繁に展示換えが行われていたようで、観ていない作品もたくさんある。
ミュージアムショップでは、中村芳中の仔犬シールとマスキングテープを買う。……観てないのに!犬が好き!
折り紙で作ったポチ袋に貼ってみた
おまけ
柄といえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』でロレインが着ていたキリン柄のスカートが超可愛かったよね!
あー可愛い〜!見直してみても、ほんとに可愛い。柄の部分は刺繍かなぁ。ピンクと合わせると甘すぎる感じになっちゃうから、たとえば黒のシンプルなトップスと一緒に、ワントーンで着てみたい……。