部屋と沈黙

本と生活の記録

照度

台風が近づいている。

このあいだかすめた9号ですら風が強くて怖いくらいだったのに、進路予想では直撃じゃねえか。金曜日の仕事帰りに寄ったイオンでは、LEDランタンも懐中電灯も品切れで、これはもう暗くなったら寝て過ごすしかないと考えていた。

とりあえず、折りたためる飲料水用のタンク(5リットル)と即席スープ、バターチキンカレーの缶詰、パスタ、パスタソースあたりをカゴに入れ、備えることにする。

念のため、余分な懐中電灯がないかを実家の母に聞いてみると「ペンライトならある」と言われ、笑ってしまった。

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実家にあるペンライトといえば、SMAPと嵐のぶんだろう。ファンクラブ会員の母に誘われてコンサートにも行ってみたけれど、ほんとにおもしろかったもんな〜。「死ぬまでに一回は行ってみたい」くらいの野次馬的な気持ちだったのに、超楽しませてもらった。これがエンタメで、これがアイドルかーっ!と思った。

そんなペンライトが停電のときに光るなんて、そらもう楽しくなっちゃうよね。ルクスは足んなくても気持ちは明るくなる、みたいな。

小学生のときに経験した台風19号では、たしか断水もしたし、停電も長引いて、ガスで沸かせる友だちの家のお風呂にみんなで入った。日の高いうちからみんなで入る狭いお風呂は楽しかったし、暗闇で揺れるガスコンロの炎は青くてきれいだった。そういうことばかりを思い出す。

予想進路図を眺めて狼狽しつつ、恐怖が分かりやすくていいと思っている私は不謹慎なんだろう。この台風と感染症には、そもそもの違いなんてない。どうしようもなくやってきて、分け隔てなく踏みにじり、過ぎていくものだ。なのに、こと感染症となると、人は人を傷つけはじめる。やめろ。それだけはしてくれるな。自分自身にも言い聞かせるみたいに、何度も考える。

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結局は古いランタンと、ついでに牛肉をもらう。ランタンには単一電池が8本もいるらしく、あまりの燃費の悪さに「また今度返す」と言ってみたものの、案の定断られた。

今週のお題「もしもの備え」