部屋と沈黙

本と生活の記録

『暴君フルカワくん』

「フルカワくん、骨格変わったよね?」

チバ先輩から声を掛けるなんてめずらしい。なにしろ暴君フルカワくんは暴君である。一触即発、先輩とはいえ、気に入らなければ予鈴が鳴り止むのも構わず説教し続けるだろう。加えて暴君フルカワくんは2頭身なので、骨格云々はとりわけセンシティブな問題であった。管理棟と旧校舎を繋ぐ午後の渡り廊下が静まり返る。

「はい!骨格変わりました!」

周囲の心配をよそに、とても嬉しそうな暴君フルカワくん。なんとチバ先輩から自動販売機のパック牛乳までご馳走になっている。その様子を眺めていた須藤くんは、なんだかおもしろくない。

「え〜?ほんとに変わってる?」
「変わってんだよっ!朝は……まぁ1.8頭身くらいだけど、今は2頭身ちょいあるし、夜になったら2.7頭身くらいにはなんの!」
「ガサツな骨格だな」
「親に謝れ!」

……みたいな4コマ漫画『暴君フルカワくん』が読みたい。

誰かーっ!絵が描けちゃうメイニアのひとーっ!須藤くんとチバ先輩は少女漫画風のかっこいい感じで、暴君フルカワくんだけちまっとした2頭身の、学園パロディ漫画を描いて〜!

暴君フルカワくんは暴君でも、2頭身だからなんか可愛いのね。200mlパックの牛乳を両手に握りしめて、きっと可愛いよ。赤ちゃんみたいなもん。赤ちゃんって基本的に暴君だけど、超可愛いじゃん。そんな感じ。ついでに『暴君フルカワくん』ってタイトルなのに、いちばんの暴君は須藤くんなのよ。

見える、見えるぞ……!コミックスの巻末に収録された番外編「暴君ストーくん」で、えげつない暴君ぶり*1を発揮する須藤くんが……。

須藤寿発案の「暴君フルカワくん」の語感が良すぎて、うっかり思いついちゃったから、つい書いちゃった。やばいな〜。やばいファンになりつつある。でもさ、フルカワユタカはバンアパのやばいファンだけど(失礼)、やばさを極めたら(超失礼)バンアパと曲作れんだぜ?極めるならやっぱやばさだよな!

フルカワユタカの『オンガクミンゾク』、第7回は、髭の須藤寿とフルカワユタカが共同開催しているお誕生日イベント“SEITANSAIV”が配信された。

f:id:roomandsilence:20210306214710j:plain:w600

ちなみに、ポチャッコの誕生日の前の日が、須藤寿とフルカワユタカの誕生日だ。ポチャッコは2/29生まれ。

f:id:roomandsilence:20200305000236j:plain:w400
可愛い〜!

冒頭の三文小説ならぬガサツなプロット『暴君フルカワくん』、ライブを観ていない人には意味が分かんないよねぇ。MCで二人が話していたことを曲解しつつ、思いつきの勢いに任せて楽しく書いた。今、冷静になって読み返すと恥ずかしい。あまりにも恥ずかしい。自損事故だよ。誰にも煽られてないのに。いっそ全部なかったことにしようかとも考えたけれど、思い返してみれば、恥ずかしいのは今に始まったことじゃない。表現することは、自損事故を受け入れることである。

MCでは、髭の新しいライブ“WEINHAUS”ツアーも告知された。以前、グレイヘアーが素敵なバーのマスターに「アルコール度数の低いカクテルからはじめて、高いものと低いものを交互に飲むといい」と教えてもらったことがある。だから“ブラッディ・マリー、気をつけろ!”→“テキーラテキーラ!”→“WEINHAUS”の順番ならば、アルコール度数的には(あくまでもアルコール度数的には)、素敵な飲み方だと思う。実際にやると身も蓋もない感じになりそうだけど……。

そういえば、フルカワユタカの“バスストップ”に似ているらしい瑛人の“香水*2”と、石川さゆりの“天城越え”には共通点があるという。ということは、もしかすると“バスストップ”と“天城越え”にも、なんらかの繋がりがあるのかもしれない。こう……、脳波的に?

“It’s my life”も良かった。DOPING PANDA名義で発表された当時と今と、きっと聴こえ方が違うんじゃないかな。このあいだの髭の配信ライブで“闇をひとつまみ”を聴いたときにも、同じことを思った。

「今」のために狙って作ったんじゃないものが「今」にばちっとはまるっていうのがいちばん良くて、なんていうか「意図してない」のが良いんだよ。マーケティングが悪いとは思わないし、むしろ人の行動原理とか心理っておもしろいけれど、思惑とか目論みとかなしで、ただ美しいまま「今」になるのが良い。

それってたぶん、それがその時その時の「本当」だったからだと思う。偽りのない「本当」はずっと本物だから、時代によって通用しなくなったりはしない。
2020.9.12「髭 “LiVE STRM HiGE” 感想」より

“It’s my life”を聴いていると、いつかきっと“47 Your Town”ツアーをやってくれるだろうと思えて嬉しくなった。この歌は、このツアーにぴったりだと思う。いつか明るくなるそのときが来たら、きっと私は私の町で聴く。

*1:「地図見る気分じゃないんだ!」「じゃ拍手してくださーい」

*2:以前、バンアパの配信で荒井さんと木暮さんが歌い上げた「ドールチェアーンドガッッバーナ〜!!」が耳に残っていたせいか、その後、どこかの有線で本家を聴いたときに、思いのほかしっとり歌っていて拍子抜けした。なんだか物足りない。もちろん、瑛人にとっては謂れのない物足りなさだろう。