部屋と沈黙

本と生活の記録

ソリューションないしコンセンサス

カーテンでは遮ることのできない晴れの日の光で目が覚めた。今日は、朝から冷蔵庫のなかのバターのことばかり考えている。銀色の紙に包まれたつやつやのバター1本200g。「バターはすべてを美味しくする!」と言ったのはレイチェル・クーだったか。きのう、「やろう」じゃなく「やりたい」ならば何をしたいかと自問し、近所のスーパーで買ってきたのだ。

バナナのスコーンを作りたい。それから、いつもは戸棚の奥に仕舞い込んでいるケメックスでコーヒーを淹れたい。もちろんその前にお昼ごはんが食べたい。

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フライパンを傾けてオリーブオイルのたまりを作り、にんにくを揚げ焼きにする。パスタを作るときの、この過程がいちばん好きだ。「おいしそー!!!」と思う。

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トマトとアスパラガスのパスタ。結局、パスタは洋風焼きそばみたいなものだ。料理がさほど得意じゃない私でも作ることができる。「私、パスタくらいしか作れなくて……」は「私、焼きそばくらいしか作れんよ」と同程度の意味合いである。ただ、焼きそばと同じくらい手軽なのに、焼きそばよりも料理ができ“そう”な雰囲気を醸し出すことができる。たぶん、カタカナだから。ほら、ソリューションとかコンセンサスとかさ、仕事できる“風”じゃん。それと同じ。

おなかがいっぱいになり、一時「スコーンを作りたい」という欲望が失われそうになったものの、午後二時には復活。三時のおやつにむけてバナナのスコーンを焼く。

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バナナの良い匂い。美味しいけれど、なんだかふくらみが足りなかった……。

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ケメックスのコーヒーメーカーは、不思議なかたちの濾過紙を折り込んで使う。柳宗理のエッセイでは、宗理の父の宗悦が、イームズ夫妻の自宅でコーヒーを振る舞われたときのエピソードとともに紹介されている。ちなみに、スコーン作りで使ったステンレスボウルは柳宗理がデザインしたもの。どちらも美しい道具だ。

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機能的には、いずれも100円ショップで手に入れることができる。私も100円ショップが好きだ。でも、美しい道具には機能以上の“何か”がある。その“何か”を自分のそばに置き、使ってみたくて、20代のころから少しずつ買い集めてきた。

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最近100円ショップで買ったのは、くまのキッチンタイマー
先代のりんごを水没させて半年、ようやく可愛いのを見つけた。

「料理が得意じゃない」なんて、本当は言い訳なのよ。久しぶりに作ったスコーンが上手くふくらまなかったように、何事もやってみて、続けてはじめて上手くなる。なにしろ本が好きだから、料理本だっていっぱい持っていることを思い出した。

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“読み専”なんてぬるいこと言わずに作ってみようか。そうすれば好きな料理本を紹介できるし、続けていれば料理が得意になるかもしれない。なにより「ブログに書く」という口実のもと、新しい料理本が買える……(°▽°)!

かたちから入るタイプなので、さっそく〈料理〉カテゴリを増やしてみた。飽き性だから頑張って続けよう……いや違う、始めたい!続けたい!素敵な料理本をいっぱい買いたい!!!

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

柳宗理 エッセイ (平凡社ライブラリー)

  • 作者:柳 宗理
  • 発売日: 2011/02/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

今週のお題「おうち時間2021」