部屋と沈黙

本と生活の記録

プレーンラスクをつくってたべよう!

私が好きな料理の本を、作って食べて紹介する「つくってたべよう」。今回、紹介するのは……の前に、まずは私の料理にまつわるあれこれについて書いておこうと思う。

美味しいものが好きだ。でも、料理はそんなに得意じゃない。込み入ったレシピなんて面倒だし、粉末出汁もほいほい使う。レシピを見ずに作れるのは、パスタとサラダと無限ピーマン。コンビニ弁当も冷凍食品も「美味しい、美味しい!」と言いながら食べる。かと思えば、眠かったり、何かに没頭していたりすると、平気で食事を抜く。比較的少食で、食べるのが遅い。

大学生のころ、アルバイトに忙殺され、夜中にコンビニ弁当を買って帰る日が続いた。わりと美味しいし、なにより楽だった。でも、しばらくすると何を食べても同じ味としか思えなくなった。美味しくない、味がしない、なにもかもが全部、全部、同じ。蛍光灯の下で清潔そうに並んだお弁当の群れの前で、何も食べるものがない、と思った。

仕方がないから、お米を炊いた。夜中に、疲れ果て、浸水もせず、マイコン式のやっすい炊飯器で炊いただけなのに、それはちゃんとご飯の味がした。むちゃくちゃ美味しかったのだ。

今でもコンビニ弁当を食べるし、美味しいとも思う。でも、自分で作ったごはんのほうが好きだ。たまに失敗したとしても。だから、もうすこし上手くなりたい。もしかすると、料理上手な人には物足りない記事になってしまうかもしれない。でもさ、私がいずれ「うめしごと♪」とか言いながら梅を漬けたり、糠床とか混ぜ始めたりしたら、どうするよ!?超おもしろくない?私はすごくおもしろい。そんな感じで、続けていけたらいい。

さて、前置きはこのくらいにして、今回は「歩粉」磯谷仁美『朝食おやつ』から、プレーンラスクを作ってみた。

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初っ端から出版社品切れの本を紹介して申し訳ない。これは、ショッピングモールのバーゲンブックコーナーで見つけたもの。レシピを知りたいだけならググればいいけれど、この本は「朝からおやつを食べたっていいじゃん!」ということを教えてくれた、とても素敵な本だ。

『朝食おやつ』には、ビスコッティやクイックブレッド、クイックスコーンにグラノーラなど、朝から食べられるシンプルで素朴な焼き菓子が紹介されている。プレーンラスクは、この本のなかでもいちばん簡単そうだった。

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フランスパンを切って、

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低温で下焼き。乾燥させる。

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バターは室温に戻す。砂糖はグラニュー糖にした。

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ゴムベラを使い、ボウルの側面へ押し付けるようにして、すり混ぜる。これはたぶん、ほかのお菓子を作るときにも役に立つテクニックだと思う。ボウルを回しながらやると、混ぜやすい。

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シュガーバターのペーストができた。

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塗る。もう美味しそう!

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まだ余ってんな……。

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すこし温度を上げて、二度焼き。

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焼きあがったものを魚焼き器の網の上へ避難させ、余ったペースト用に、もういちどフランスパンを切って下焼きし……、

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完成!

すごく簡単。でも実は、ちょっと失敗してる……。ほんの少し、パンに水分が残っているような食感だったのだ。私が使っているオーブンは電子レンジと一体になったものだから、どうしても火力が弱い。それをすっかり忘れていた。きっちりレシピどおりに焼いても、足りないわけだよ……。

それに、網へ避難させたのもよくなかったと思う。熱々の天板に乗せたまま冷ませば、水分も抜けて、きっともっとカリカリだったはず。ラスクはカリカリが命。レシピどおりに焼くのがすべてではない。自分が使っている道具の癖もちゃんと知って、考えて作るのが、料理上手への第一歩だね。簡単なのに、結構奥が深かった。

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……ていうかこれさ、おつまみに応用できそうな気がせん?ガーリックバターラスク、作れそうな気がせん!?するよね?おーし、じゃあ作ろう。「朝食おやつ」ならぬ「晩酌おやつ」だ!