「ねえちゃん、9mmって聴く?」
当時高校生だった弟から、そう聞かれたことがある。
「きゅ……、あ、いしわたり淳治の?」
9mm Parabellum Bulletについて当時の私が知っていたのは、元SUPERCARのいしわたり淳治がプロデュースしているらしい、ということくらいだった。どうやらピンときていない弟に「ほら、スーパーカーの。解散した」とか「ピンポンの映画の主題歌の」などと言いつのってみるものの、伝わらない*1。
なんか久しぶりに聴きたくなってきたな〜!
伝わらないまま、このあと一体どういう話をしたのだろう。ともあれ、9mm Parabellum Bulletは、高校生だった私の弟を夢中にさせ、私に初めてジェネレーションギャップなるものを突きつけたバンドだと言える*2。
フルカワユタカの『オンガクミンゾク』、第9回のゲストは、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎。今回はなんやかやで1回しか観ておらず、そのまま時間だけが過ぎてしまった。どんな内容だったのか今はもうほとんど覚えていないなかで、菅原卓郎の歌声がとりわけ印象に残っている。
せっかくだし、実家の弟の部屋に残されたCDラックから“Revolutionary”を借りてきた。このアルバムに収録されている“The Revolutionary”のアコースティックバージョンを、このあいだのオンガクミンゾクで歌っていたのだ。
菅原卓郎の歌声は「歌謡曲っぽい」と評されるらしい。でも、それだけでは足りないような、形容しきれていないような気がする。もっとこう、男声のなかに女声の要素が入っているような印象なのだ。なお「女っぽい声」ではない。なんていうか、男声のなかに女声が混ざっているような男声なのだ。
対して、女声のなかに男声が混ざっているのは、山口百恵とか、宇多田ヒカルもそうかなぁ。そういう、男声と女声のあわいにあるような声って、独特の色気があると思う。神話っぽい感じ?
そもそも“あわいの声”の持ち主って、女性は結構思いつくけど、男性ではあんまり思いつかない。ほら、アニメの声優さんは女性が少年の声をやったりするけど、男性が少女の声をすることって、ほとんどないでしょ?だからこそ、菅原卓郎の歌声は特異でおもしろいんじゃないかなぁ。
*1:アニメ方面に詳しい人なら『交響詩篇エウレカセブン』の挿入歌の、と言えば伝わるだろうか。
*2:私と弟は5歳離れている。