部屋と沈黙

本と生活の記録

portrait in music / リズム・ベース派の私がギターソロについて考えたこと

「サブスクではギターソロを飛ばす若者が多い」らしいとTwitterで見かけて、へえ!と思う。おもしろいな。同じ音楽を聴いていても、人によって聴こえ方が違うと気づいたのは、私が小学生のころだった。

私はどちらかというと音楽をかたまりで聴くタイプと言えばいいのか、小学校4年生くらいの頃、弟がやっていた『スーパーマリオワールド』を眺め、何気なく、マリオがヨッシーに乗ると音楽が変わるね、と言ってみたら、弟も妹も、近くにいた母親までもが「変わってない」「一緒やん」と口々に言い、まじでびっくりしたのだった。私には、マリオがヨッシーに乗ったタイミングで、今まで鳴っていたメロディに可愛い太鼓みたいな音が重なって聴こえていた。
「一億光年と一日」より

今回のギターソロ問題から音楽を考えてみると、ざっくり「メロディ派」と「リズム・ベース派」に分けることができるのではないか。もちろん、どちらか片方に振り分けられるわけではなく、どちらをより重視するか、である。そしておそらく一般的には「メロディ派」の方が多い。なお、私は完全にリズム・ベース寄りで、ヨッシーの可愛い太鼓の音が気になってしょうがないタイプである。

ゲーム繋がりでいくと、私は『MOTHER2』のオープニングが大好きなのだが、あれもベースが良い。古き良きアメリカのB級パニック映画→ファンファーレ&タイトルロゴ→オープニングの流れも最高にかっこいいし、途中で何かが爆発しているのも良い。YouTubeにあると思うので、気になったかたは聴いてみてほしい。

ベースが良いと、メロディに奥行きが生まれる。音楽が空間になるというか、立体的になる。リズムとベース、あとは全体の響き、音の重なり。ジャズでもピアノ・トリオがいちばん好きなのは、ピアノがメロディも和音も得意な“歌のうまい太鼓”で、それにベースとドラムが加わるからだ。「リズム・ベース派」の私にとっては最高である。


今日Amazonミュージックでおすすめされた曲。かっこいい。

たまに「ベースが聴こえない」という人もいるらしいけれど、そういうときは同じ楽曲をiPhoneのスピーカーだけで聴いたあとに、もう一度イヤホンを通して聴いてみると良い。音の厚みが全然違うと思う。その“厚み”を作っているのがベースだ。ベース最高!ドラム最高!ドラムの良さは、両手両足で複数のリズムを刻めるところ。どんな曲にも一定のテンポ(BPMともいうのかな?)があるよね。そのテンポのなかに、複数のリズムを詰めたり抜いたりするんだよ。すごくかっこいいと思う。

なんだか私がいかにリズムとベースが好きかの話になってしまったが、私にとってギターソロとは、そういう楽曲のなかの一部である。……ということは、つまり私自身もギターソロに特別な思い入れがないってことですね。あはは!でも飛ばさないよ!だって、そのギターソロも楽曲という空間を構成している柱のひとつだから。

ギターソロを飛ばす彼らには、音楽がどんなふうに聴こえているんだろう。もしかすると、私とは全然違う音楽の肖像が見えているのかもしれない。