部屋と沈黙

本と生活の記録

Q

読み終えてみれば児童文学だった。午前3時。きのうは早寝をし、昼寝もたっぷりしたから、それほど眠くはない。

あとがきによると、イギリスの児童文学賞を受賞しているらしい。しかし、いまひとつぴんとこない。思い返せばサン=テグジュペリの『星の王子さま』も、ミヒャエル・エンデの『モモ』も、いまひとつぴんとこなかった。子どもの感性を失った者と思われたくなかったから、あんまり言わないようにしていたけれど。なんであんなに人気なんだろう?

もちろん、児童文学のすべてにぴんとこないわけではない。ケストナーも大人になってから読んだし、『いやいやえん』に登場するこぐまのこぐちゃんが、お歌の歌詞がよく分かんなくて「むーむー」歌うのもめちゃんこかわいいし、ハリー・ポッターシリーズだって全巻読んだ。子どものころはリンドグレーンの『長くつ下のピッピ』が大好きだったな。端的に言えば、ピッピがむちゃくちゃする話である。

そうやって考えてみると、『星の王子さま』も『モモ』も、何かを教え諭そうとする側面が強いのかもしれない。イソップ物語にある教訓のような。

私が物語に求めているのは、新しい感覚と問いである。それにさわりたいし、考えたい。むちゃくちゃしたい。「いちばん大切なものは目に見えない」なんて、目に見える大切なものもあるじゃんか、と言いたくなる。たとえば身体とか。「きみは、その身体のすべてで世界にさわっているんだよ。眠っているあいだも」。私ならそう言う。

星の王子さまよりも偏屈なロマンチストだ。