部屋と沈黙

本と生活の記録

「ていねいな暮らし」と自己愛、その他

知らないあいだにシャーリイ・ジャクスンの『くじ』が文庫化されて、村上春樹の新作が発売されようとしている。『騎士団長殺し』なんていうタイトルからして、冒険小説なんかな。この際、未読の『女のいない男たち』とか『多崎つくる』を読んでみようか。それとも『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読み返そうか。なんとなく浮き足立つ。
『くじ』はさっそく買いに行った。

今更ながら2016年を振り返ると、大厄にもかかわらず転職をしたし、大きな買い物(自動車の購入)もしたし、11月末からは一人暮らしを始めた。人生で二度目の一人暮らし。忙しい。でも、生活することは自分自身を大切にすることと同じなんだと思う。料理をするのも片付けるのも、もとを正せばすべて自分の快適さのためなんだから。
「ていねいな暮らし」に憧れたり、いい気持ちになったりするのは、そこに自分自身への愛情が感じられるからで、「ていねいな暮らし(笑)」と茶化したり、嫌悪したりするのは、そこに見え隠れする自己愛に辟易するからなんだろう。
個人的には「適当かつテキトーな暮らし」で自分を大切にしまくりたい。生活を続けることが、いつか自分自身を救う。

ブログの更新も、テキトーでなく適当にこなしていきたいとは思うのだが……。

賭けるか、賭けないか

f:id:roomandsilence:20161010172804j:plain:rightf:id:roomandsilence:20161010172842j:plain:right『職業としての小説家』が、あっというまに文庫化されている。奥付を見ると、単行本の発行はちょうど一年前。朝日新聞折り込みのGLOBEでも村上春樹の特集をしていたし、今年のノーベル文学賞に合わせているのだろうか?

短篇もエッセイも、どちらかといえば好きな作家なのだが、『1Q84』以降の小説はフォローしていない。いつか、新刊の試し読みに開いたページでばっちり射精していることに笑ってしまって、なんだかもういいような気分になったのだ。射精すんなや、とは言わない。ただ、このあいだ読んだチャールズ・ブコウスキーの『パルプ』の主人公はしっかりうんこしてくれていて、妙に感動してしまった。ほとんどコントのようなやり取りで笑わせてくれる下品な探偵小説なのだが、そのくせ一瞬でセンチメンタルになるし、ラストは詩だ。啓示のようでいて、それが何を示しているのか分からない。清潔そうに取り澄ました射精文学より、よほど信じられると思ったのだ。とはいえ、うんこしろや!ということでもないのが難しい。

それにしても、毎年毎年ノーベル賞を期待されて気の毒に思う。『職業としての小説家』を読んでいると、作家にとっては「書けるか」「書けないか」、「届くか」「届かないか」が重要であることが分かる。そもそも純粋な表現欲求は、そういうところから生まれてくるものなんじゃないか?それに比べれば「とるか」「とらないか」なんて些末なことだろう。

ノーベル文学賞は今月の13日に発表される。私だったら多和田葉子に賭けるなぁ。

本日のDIY「紙コップスピーカー」

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これであなたもミニマリスト
紙コップの底より1センチ程度上あたりに、お手持ちのスマートフォンが入るか入らないかくらいの差し込み口をあけます。そこへスマートフォンのスピーカー部分をぐっと差し込んだら完成!
メリットとしては、気持ち、音に広がりが感じられること。デメリットとしては、端末自体が重すぎて安定感に欠けるのと、操作しづらいのと、外したときゴミみたいに見えることかな~。