部屋と沈黙

本と生活の記録

考えない

コーヒーを自分でドリップするようになって数年、今さらながら、深煎りよりも中煎り〜浅煎りあたりが好きなことに気がついた。元々酸っぱいものが苦手で、コーヒーの酸味、すなわち浅煎り、中煎りのコーヒー豆をなんとなく避けてきたのだが、「古くなったコーヒーの酸味」と「コーヒーの酸味」は違う。当然だ。

とはいえ、コーヒーの味がむちゃくちゃ好きかといわれると、そうでもない。……いや、もちろん好きなんだけど、味よりも香り、香りよりもコーヒーを淹れる工程そのものが好きだといえる。計量する、豆を挽く、フィルターを折る、ドリップする。一定の型があり技術を伴うようなもの、もしかしたら拳銃の組立・解体(映画でよく見るやつ)なんかにハマってしまうことだってあったのかもしれない。

おそらく、何も考えないでいることに居心地の良さを感じているのだろう。考えようとしない奴は馬鹿だと思っていたこともあったけれど、「考えないこと」は「考えること」と同じくらい大事だ。今になって、ようやく気づく。

コーヒーは楽しい!

コーヒーは楽しい!

  • 作者: チュング‐レングトランセバスチャン・ラシヌー
  • 出版社/メーカー: パイインターナショナル
  • 発売日: 2017/05/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今週のお題「私の癒やし」

PETROLZ “BASE-12 II” 感想

2017.10.15 sun
周南RISING HALL

開場の2時間前に着くよう、自家用車で徳山へ向かう。雨。

コインパーキングに車を停め、ライジングホールのツイッターを確認すると、グッズの先行販売まで30分。腹ごしらえに近くのパン屋さんへ立ち寄る。
それにしても良い意味で垢抜けない、昭和感のある街だ。

会場で販売されていたグッズは、Tシャツ、トレーナー、帽子、ステッカーセット、バンドのロゴシール、ピック、アルバム『Renaissance』のみ、だったと思う。『Renaissance』以外の音源がないことを残念に思いつつ、Tシャツ(白)とステッカーセット、ピックセットを買う。

車へ荷物を置きに行く途中、自宅のコーヒー豆が切れそうなことを思い出し、コーヒーボーイPH通り店へ。試飲させてもらい、豆2種計200グラムを買う。おまけまでつけてもらった。うれしい。

トロールズについては、CDで聴く限り、少ない音を重ねて広がりや奥行きを感じさせてくれる音楽だと思っていたんだけど、いざライブへ行ってみると、予想以上に“バンド”だった。それも、むちゃくちゃかっこいいバンド。おじさん3人がこんなにかっこいいなんてすごいな〜としみじみ思う。
最初の数曲を終え、クラブへ来たみたいに楽しんで、と長岡さん。適度にリラックスした穏やかな熱気に包まれて、親密な空気が出来上がっていったように思う。なんていうか、お客さんも含めて、とてもチャーミングな雰囲気だったのよね。すごく楽しかったし、盛り上がったし、なにより居心地が良かった。また来てほしいし、また行きたい。この街で聴きたい。

MCも終始和やかだった。ボブさんがちらっと見せてくれた小さい岩に、カタカナで「パワー」と書かれていたような気がするんだけど、最近のパワーストーンは自己主張するんだな。
あとは、ジャンボさんが山口県のかたちについて「フタになってる感じ」と、ちょっとよく分からない妙な印象を持っていることに心を奪われてしまった。私は真顔で変なことを言う人に弱い。

おまけ

ピックをキーホルダーにしてみた。目打ちを熱して穴を開け、バリを取ってからニットピンを通しただけの簡易的なもの。

ステッカーはラミネートして栞にするのもいいな〜。

本を切符にして

ブランケット・シティは毛布をかぶった小さな街。主な交通手段は街の中心を走る環状鉄道〈ブランケット・ドミノ・ライン〉です。〈デイリー・ブランケット〉紙に連載中のコラム『ブランケット・ブルームの星型乗車券』をたよりに街を歩けば、一般的なガイドブックとはひと味違った旅になるはず。街の祭日である〈毛布を干す日〉には、家々の軒先に色とりどりのブランケットが干され、訪れた人々の目を楽しませますーー。

ブランケット・シティに住みたい。

吉田篤弘『ブランケット・ブルームの星型乗車券』を読み終わってからも、この気持ちは大きくなるばかりだ。
〈ブランケット・ドミノ・ライン〉を乗り継ぎ、街頭芝居の『DOORS』を観て、本好きのための酒屋〈グラスと本〉でお酒と小説を買う。ロビーだけがのこされたホテル〈バビロン〉で待ち合わせ、毎週日曜日に旧市街で開かれるガラクタ市へ。街の〈発券所〉で「走ってもいない列車の乗車券」や「上演されるあてもない芝居の座席指定券」のような、「意味のない」あるいは「純粋な」美しいチケットを買ってもいい。このチケットに書かれていることは、もしかしたらありえるかもしれない、ありえたかもしれない未来なのだから。

『ブランケット・ブルームの星型乗車券』が、私のブランケット・シティ行きのチケットになる。

今週のお題「行ってみたい場所」