部屋と沈黙

本と生活の記録

パズーの献身

ブログ用に書き進めていた文章に引用しようと、スタジオジブリの公式サイトで『天空の城ラピュタ』の画像を見ていたところ、不意に「結婚するならパズーだろ……!」と確信する。

以前、ネットの記事で「恋人にしたいジブリ男子」なるランキングを見かけたことがあり、そこではハウルやハク、アシタカあたりが人気だった。この手の空想は私も大好きなので、ランキングを眺めながら「私なら誰かなぁ……」などと考えてはみたものの、いずれの男子も素敵ではあるが、取り立てて「この人!」という男子はおらず、そのうち忘れてしまった。

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そもそもパズーは子どもだ。最初から恋愛対象として見ていないから、そこまで深く考えていなかった。でもこのシーン……滅びの呪文を一緒に言ってくれる人なんて、いる!?「滅びの呪文」だよ!?口にすれば、自分自身も傷ついてしまうかもしれないのに。

こんなにも利他的なジブリ男子って、他にいただろうか?献身、と言ってもいい。多くのジブリ男子は、たとえば自らにかけられた呪いを解くため、というような“自分自身の目的”がある。ハウルもハクもアシタカも、全員、呪われている。彼らはやや諦め気味ではあるが、自らの呪いを解きたいと思っている。

誰かのために奮闘してきたのは、多くの場合、ジブリ女子だった。たとえば民のため、豚に変えられた父と母のため、身勝手な支配を阻止するため。『ハウルの動く城』のソフィーなんて、自らも呪いを受けながら、そんなことわりとどうでもいいように振る舞う。彼女たちの目的は、自分の外側にある。

もちろんただの、ちょっとした思いつきだ。すべてを観てはいないし、きちんとリサーチし直したわけでもないけれど、比較的、そういう傾向があるように思う。

そう考えると、パズーは稀有な存在だ。いきなり空から落っこちてきた女の子シータを守り、シータに守られている。ついでに呪われてもいない。「シータを助けたい」という気持ちだけで動いている。あるいは「父の汚名を晴らしたい」。

もしかすると『天空の城ラピュタ』こそ、ダブルヒロインかつダブルヒーローものであると言えるのかもしれない。

ちなみに、あらためて「恋人にしたいジブリ男子」でググってみると、パズーについては「街はずれに持ち家があるから結婚相手に良い」という至極冷静かつ具体的な指摘までなされていて、思わず笑ってしまった。持ち家のことなんて気にもしてなかったよ……。

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持ち家……。