おさがりのワンピース

母が若いころに着ていたこのワンピースには、奇跡的に肩パットがついていなかった。衣替えのついでに引っぱり出してきた衣装ケースの中には、ほかに二着のワンピースがあったけれど、そのどちらにも肩パットが縫いつけられている。

うん、まぁジャケットは許す。でもなんで、ワンピースに肩パットをつけようと思ったのか。ケースから出てくるカーディガンその他トップスには、ことごとく肩パットがついている。昔の若者たちは皆、小さいクッションを肩にのせて歩いていたのだ。肩パットがあるのは、そこに肩があったからだろう。

というわけで、このワンピースは奇跡だった。サイズぴったり、Aラインのかたちも、色も好き。麦わら帽子を合わせればカジュアルに、パールのネックレスと黒いエナメルのパンプス、クラッチを合わせればフォーマルにもなる。夏になると蒸気と熱波でふうふう言いながらアイロンをかける。

男の人のスーツ姿ならシャーロック（ベネディクト・カンバーバッチ）が完璧。シャツもジャケットもジャストサイズ、清潔なのにセクシーでとっても素敵だと思う。うしろでもこもこしてるジョン（マーティン・フリーマン）も可愛いんだけどね。

最近のお気に入りは大型スーパーの靴売り場で買ったレモン柄のスリッポン。上下はごくシンプルにして履く。

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