部屋と沈黙

本と生活の記録

「正常です」

台風の影響で午前休の連絡が入る。時折突風が吹くものの雨は降っておらず、エアコンは静かに稼働を続けているから停電はしていない。向かいのアパートの窓に貼られた養生テープは昨日のままの米印だ。NHKでひととおりの台風情報を確認したあとは、オーディオに切り替えて音楽を聴く。

午後の出勤までの空いた時間でアイロンをかけ、いただきものの食パンをカットし、昨日の夜、湯船にためておいた水でお風呂の掃除をしたあとは、このあいだもらった牛肉でカレーを作る(カレーは牛肉派)。

ちなみに、食パンをカットするときには、熱湯なりなんなりで包丁を温めるときれいに切れます。いつもしょうもないことばっかり書いてるから、たまには役に立ちそうなことも書かんとね。

結局は大したことなかったんやな、もしかしたら、台風に備えるたび空振る職場のKさんがめちゃくちゃ備えたおかげかもしれんと思いながら車を運転していると、所々、信号機が停電している。


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職場に到着し、上司に「信号、消えてるとこありませんでした?」と聞くと「うん、うちは停電してるからね」と言う。なんでも、夜中の3時くらいから窓が割れそうなほどの強い風が吹き、電気が点いたり消えたりするごとに、ガスの給湯器だか報知器だかが「正常です」「正常です」と繰り返す異常事態だったらしい。


「3時くらいからごそごそしだして」
「はい」
「電気が点いたり消えたり……そのたびにガスの機械が正常です、正常ですって言うから目が覚めるんよ」
「それこそ異常ですね(笑)」


寝不足の上司には申し訳ないが、あまりにもおもしろくて笑ってしまう。私なんか、台風が接近すれば当然うるさかろうと思い、耳栓をして寝ていた。もちろん、聞こえにくい状態で眠ることに一抹の不安を覚えたものの、まじでやばくなったときにはさすがの私でも起きるだろうと、眠りを優先したのだ。加えて、市内でも停電の復旧が早い地区に自宅があるからか、ほとんど不自由なく過ごしていた。


「復旧せんかったら水風呂かもねって、奥さんと」
「復旧には長期間を要する見込みって書いてありますね、長時間じゃなく期間って、日をまたぐ気満々ですよ(笑)」
「直す気ないんよ……」


仕事を終えて自宅へ戻り、玄関に避難させていた玉ねぎやら植木鉢やらをベランダへ戻す。ためておいた飲料水のタンクから水をやり、ともかく今日も笑って無事でいる。


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