部屋と沈黙

本と生活の記録

the band apart “August e.p.” 感想

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the band apartの“August e.p.”が届いた。“August”なら“September”で、“October”もあんのかな。10月は私の誕生月だから、勝手に期待して嬉しくなっている。

本稿は評というより感想。ていうかいつもそう。楽曲レビュー的なことは他の音楽ライターの方に任せて、聴いて思い出したこととか、考えたことを書こうと思う。私、自分のことなら超詳しいし。


“AVECOBE”

めちゃくちゃかっこいい。このあいだの荒井さんと木暮さんの配信では「間奏がダサい」なんて言ってたけど、ダサいというか、ものすごい「ドラゴンボール感」がある。私にはある。でも、なんでだろ……?

90年代に小、中学生だった私は、ドラゴンボールでいうと概ねZ世代だ。そんな「ドラゴンボール感」の理由を知りたいがために、30も半ばになってからドラゴンボールの主題歌を聴き直すという、ごく小規模なパラダイムシフトが起こったものの、どうもぴんとこない。

歌詞の「無限」「異次元」がドラゴンボール的なのか?弟が揃えたコミックス全巻のことや(背表紙が一枚絵になっている)、「なんか先週と同じことやってる」当時のテレビアニメのことが次々と去来して、ようやくスーファミの『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』を思い出す。

たしか、夏祭りの景品かなんかでもらったスーパーファミコンのソフトで、弟が遊んでいるのを眺めながら「変なゲームだ」と思っていた。マリオみたいに跳んだりはねたりしない。カートみたいにコースが決められているわけじゃない。

私にとって『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』は、RPGというジャンルに触れた初めてのゲームだった。その戦闘シーンのBGMと、“AVECOBE”の間奏が似てる。これだ。これが「ドラゴンボール感」の理由だ。

聴く人によっては似てないと思うだろうし、事実全然違うかもしんないけど、“AVECOBE”のあの間奏は、私に『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』を想起させる。もうね、バカでいいよ。気になる方はYoutubeで探してみてください(ほんと、便利な世の中になったよね)。

ちなみに『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』からしばらくのち、RPGには「物語」があると改めて気づくことになるのだが、それはまた別の話。私は雑食性の物語喰らいだから、そこに「物語」があるなら、小説でもアニメでもゲームでも進研ゼミの入会案内マンガでも、なんでもいい。そこに美味しそうな「物語」さえあれば。


“9th Grade Bubble Pop”

中学生でバス通学っていうのがまじで都会だなと思う。田舎の中学生の通学路なんか、草はぼうぼうだし、地下道は暗いし、野焼きの煙に巻かれるよ。小学校までの通学路には、土管の中からこっちを見ている日本人形がいて怖かった。小さい川を渡った先の牛小屋で見る牛の舌は紫色。「紫のサイダー」とは比べものになんないくらいダサい紫の記憶だ。

そもそも小学生の頃なんて、そのへんの道端になってる食べられそうな実はとりあえず食べてみたしな。友だちとか上級生が「酸っぱいよ」とか「苦いよ」とか教えてくれて。

野暮ったくて、田舎くさい。そういう自分自身のそこはかとないダサさを自覚してる。そらもう悲しいほど自覚して、ようやく許容できるようになってきた。むしろ、悪くないんじゃない?たとえば向井秀徳が時折方言で話すのって、むちゃくちゃカッコいいもんな。

カッコつけるときにはきっちりカッコつけて、ダサくあるときには混じりっ気なしでダサくいる。「ありのまま」とは少し違う、「自然体」よりは少し力んで、自分のエゴが他の誰かを傷つけることがないのであれば、自分本位で構わない。最近、ほんとにそう思う。


おまけ
パーソナルインタビューも楽しい。荒井さんって夏生まれなんだな〜。これはほんと個人的なフェチなんだけど、夏生まれの人ってなんか好きなのよ。暑さで死人が出るくらいの季節にオギャアと生まれて赤ちゃんやってたなんて、それだけで強いじゃん。かっこよすぎ。

August e.p.

August e.p.

  • アーティスト:the band apart
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: CD