部屋と沈黙

本と生活の記録

寝言

たまに、寝ても寝ても眠くて仕方がないときがあって、先週末がまさにそんな土日だった。眠りと眠りの合間ですら眠りのようにぼんやりとしている。夢のなかで撮った風景が現実のカメラロールに残されているような気がして、眠りの合間から手を伸ばす、その間際に、そんな写真など初めから保存されていないことを思い出した。

“東京”に雪が降る。

本当に、来年の春になれば、東京へ遊びに行けるのかなぁという気がかりが私に見せた夢なんだろうと思う。街を歩き、電車に乗り、唐突に降り積もった雪が嬉しくて写真を撮っていた。その街は、東京はおろか、これまでに住んだどの街にも似ていない。夢のなかの私だけが、ここは東京だと思い込んでいる。

その私は私だったはずなのに、まるで他人のように思える。見覚えのない“東京”。カメラロールには何も残されていない。夢は他人の記憶に似ている。夜ごと私は、誰かの記憶を夢のなかで思い出している。

ちなみに、現実のカメラロール“最近の項目”はこれ。

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5km過ぎてるじゃん……。

33,333kmに到達したあかつきには、ぜひ写真におさめたいと思っていたのに。思い出したときにはもう過去。記憶力に難がありすぎる……。「忘れるから書いている」つもりが、いつのまにか「書いたから忘れてもいい」になっちゃったんだろうか。書いたことは私から切り離されて、いずれ他人の記憶のように振る舞うかもしれない。それは夢?

まるで寝言。

惰眠を貪り食っていた先週末からしばらくは、生活にたいしたとっかかりもなく、無を混ぜているような気分だった。今年の秋は長い。雨が季節を進ませて、雨が季節を呼び戻すのかもしれない。柿は累計で10個食べた。あと2個ある。