部屋と沈黙

本と生活の記録

セーラー万年筆プロフィットジュニア+10 ゆらめく〈狐日和〉

新しい万年筆を買った。

パイロットのカクノ、プラチナ万年筆のプレピーときたら、あとはセーラー万年筆だなぁと考えていたところ、ちょうどインクとコンバーター付きのプロフィットジュニア〈狐日和〉がセールになっていた。私が持っている万年筆のなかでは、いちばん「万年筆っぽい」見た目だ。

ただ、今回のペン先は特殊な形状の「筆文字ペン先」で、立てて書くと細字、寝かせて書くと太字になる。

先端にはペンポイントがなく、先細りのヘラが折れ曲がっているようなかたち。書き心地は筆記角度によってやや引っかかるポイントがあるものの、インクフローは良いほうだし、基本的にはすらすら書ける。むしろ、この形状で違和感なく書けることにびっくりしてしまった。通常ペン先ではないので書き心地は保留するとして、良い悪いというよりは、おもしろい万年筆だなぁと思う。

〈狐日和〉は、このあいだ紹介した〈極夜〉と同じ〈ゆらめくインク〉シリーズのひとつ。〈極夜〉よりもさらに水の割合が高そうなインクで、要するに「しゃばしゃば」かつ「薄い」のだが、そのぶん濃淡を表現しやすいとも言えるだろう。このあいだと同じロディアのメモ帳に書くと、こんな感じ。


太字はとくにインクだまりができやすい。滲んでいるわけではないけれど、インクの濃淡で文字の印象がブレる感じ。個人的には、文字の印象がブレると言葉の意味が入ってきにくくなるので、例えば日記のタイトルや日付け、“HAPPY BIRTHDAY”などの飾り文字に良さそうだな、と思う。ふつうに書くだけでニュアンスが出るからね。

色味はピンクっぽい茶色で、私が持っているインクの色とも合う。ちょっとしたイラストや背景色にも使えそう。万年筆のおまけ程度に思っていたけれど、なかなか良いインクだ。〈極夜〉のときにも紹介したNIKIさんの動画をはっておこう。

NIKIさんの動画って、センスが良いのはもちろん、インクの発色が肉眼で見たときとほぼ同じなんだよね。だからすごく参考になる。

ちなみに今回の〈狐日和〉は、ロディアのメモ帳だと、もう少しピンクっぽく発色しているような気がするな。ロディアはフランスのメーカーで、“High Grade Vellum Paper”という紙を使用しているらしい。