部屋と沈黙

本と生活の記録

私の万年筆の持ち方

ほんの思いつきで万年筆のインクを買ってからまだ1ヶ月も経っていないのに、新しい万年筆を3本も買い足してしまった。といっても、いちばん高いもので3,000円ちょっとだから、散財というほどでもない。

インクを買った当初、万年筆は自分の好きなインクを使うための道具、くらいにしか思っていなかった。インクにハマることはあっても、万年筆にハマることはないだろう。そう思っていたのである。

黄色のキャップがパイロットのkakuno(カクノ)。前にもちらっと書いたとおりいただきもので、私のファースト万年筆である。付属のインクカートリッジは使い切ったものの、とくに可もなく不可もなくといった感じで、そのまま7年くらいしまい込んでいた。

透明軸のものは万年筆のペン先がついた「つけペン」で、パイロットのiro-utsushi(いろうつし)。インクをペン先につけて使う。税込で770円なんだけど、イオンの文具売り場で信じられないほど値引きされていた。いや〜、ラッキーだったな。一度インクをつければ思っていた以上に書けるのがおもしろい。はがき1枚分くらい?ペン先を水で洗ったら、すぐに別の色が使える。

白いキャップは無印良品ポリカーボネート万年筆。その正体はプラチナ万年筆のpreppy(プレピー)らしく、パイロット以外の万年筆も使ってみたくなった私にはちょうどよかった。税込で590円。本家のプレピーは税込440円だから、デザインにこだわりがない人はどちらを選んでもいいと思う*1。ただ、まだ試し書きをしていないから、使い心地は分からない。黒のインクカートリッジがひとつ付いているんだけど、好きなインクを入れられるコンバーターを買ってから使うつもり。

そして、私を万年筆のおもしろさに目覚めさせたのがKaweco(カヴェコ)のSport(スポーツ)だ。カヴェコはドイツの筆記具メーカーで、お値段は税込3,850円。Amazonでは並行輸入品が3,000円ちょっとで販売されている。私が買ったのはスカイラインスポーツのミント。とにかくデザインが好み。字幅はF(ファイン、細字)でも、日本製万年筆のFよりは太め。「海外製万年筆あるある」だそうだ。


これは字幅も関係しているんだろうけれど、パイロットの万年筆とは書き心地が違う。カクノが「かりかり」なら、カヴェコのスポーツは「するする」。私好みの字幅、書き心地だ*2。でも、正しい持ち方、筆記角度を保持していないと、書いている途中でたまにインクが掠れる。

恥を忍んで打ち明けると、私は鉛筆の持ち方が変なのよ。小学生の頃、冬に自分の部屋で宿題をしていたときに、親指を握り込んで暖を取りながら書いちゃったのね。「これなら親指もあったかいし、字も書けるぞ!」と思いついたのが運の尽き。そのまま定着してしまった。今でもはっきり覚えてるよ。子どもながら「画期的じゃん!」みたいな気持ちになってさ……。やめとけ〜!と言いたい。

そんな私でも、カクノは問題なく書ける。少々変な持ち方でもインク掠れしない。何が「可もなく不可もなく」だよ。ボールペン並みに使用者を選ばない万年筆だぞ。最高じゃねーか。カヴェコのスポーツを使わなければ気づかなかったことだ。


今は、カクノとスカイラインスポーツを使いながら、持ち方の矯正をしている。そのなかで分かってきたのが、私は字を書くときに脇をしめすぎだったな、ということ。体が窮屈な状態だから、手にも力を入れないとバランスが取れない。

あと、ペンを掴む、というよりは、人差し指にペンを添わせる感じ。指先で掴もうとすると“点”で支えることになるから、人差し指にどうしても力が入ってしまう。人差し指の全体、“面”で支えてやると、力が分散されてバランスが取りやすい。中指に乗せ、人差し指に添わせ、親指で押す感じ。万年筆だと筆圧を必要としないから、このくらいで書ける。

極端なことを言うと、ノートの罫線と人差し指が平行になるくらいの感じで書く。こうすると、余計な力が入っていないぶん、ペンを持った手も綺麗に見える。ただ、これが正しい持ち方かどうかは分からない。たぶん、ちょっと違う気がする。「万年筆 持ち方」で検索すると、人差し指を“点”で支えている人が多い印象だし。。

私はもうとにかく楽をしたい、最小のエネルギーで最大の効果を得たいと考えるタイプなので、万年筆は人差し指に添わせることにした。親指の暖を取りながら書くよりかはマシやろ。矯正後の持ち方であれば、カヴェコでのインク掠れもない。もし、万年筆の持ち方に悩んでいる人がいたら、ひとつの方法として試してみてね。書きやすくなるかも。


おまけ
「年明けにカヴェコの製品が値上げされるらしい」という噂もスカイラインスポーツ購入のきっかけだったんだけど、どうやら本当だったようだ。地元の文房具店でカヴェコのミニコンバーターを探していたときに、店長さんから聞いた。あいにく店頭在庫がなくて、取り寄せても年明け、そうすると値段が……、みたいな。いや〜、このところ本当に世知辛いですね。。

*1:まあ、わざわざ万年筆を使うような人で、デザインにこだわりがない人はいないと思う。

*2:書き心地については、紙によってだいぶ変わると思う。パイロットのLIGHTIVE(ライティブ)を試し書きしたとき、販促ツールに付いていた紙がつるっつるで、本当にスムーズだった。インクの滲みもない。ライティブが良かったのか?紙が良かったのか?分からない……