部屋と沈黙

本と生活の記録

クソ真面目によるM-1グランプリ2020雑感

Twitterでの盛り上がりにつられて、久しぶりにM-1を見た。普段からそんなにテレビを見ないせいで、どのコンビの漫才も見たことがない。ただ、マヂカルラブリー野田クリスタルのことは、テレビ東京の番組『勇者ああああ』を通して知っていた。

番組内の「ゲームオブザイヤー」という企画でギャルゲー*1を紹介し、2年連続で大賞に選ばれたり、クソゲー紙一重ミニゲームを自身でプログラミングしたかと思えば、本当に商品化されたり*2、すごいんだかすごくないんだか、結構好きだったのね。


野田ゲーのひとつ「ダイタクの達人」。しょうもなさすぎて笑っちゃう。

M-1もおもしろかったな〜とYahoo!ニュースを巡回していたら「2020年のM-1、あなたが一番面白いと思ったのは?」というアンケートを見つけて驚愕した。

マヂカルラブリー、8%*3!?

この8組ならマヂカルラブリー、次点で見取り図だな〜と思っていたのに、8%!!そんなに低い!?え、おもしろくなかった!?もしかすると、私の笑いのセンスは、およそ普遍的とは言えないのかもしれない。

私のお笑い遍歴といえば、中高生の頃の『爆笑オンエアバトル』と、大学生の頃のラーメンズくらいである。ちなみに去年のM-1王者ミルクボーイのことは、“ほわころちゃん”を通して知った(ミルクボーイの背の高いほうが“ほわころちゃん”のファンらしい)。

そんな、近年のお笑い事情を知らない私が言うのもなんだけど、いちばん笑ったよ!おもしろかったし、ツッコミも上手かったよね?タイミングとか声のトーンとか。嫌味がなく、変な気負いも感じさせない、良い意味で力の抜けた良いツッコミだったと思う。

2本目のネタの「(電車の)つり革につかまりたくない」気持ちも、コロナ禍以前とは手触りが違っておもしろいよね。これまでの“つかまりたくない人”って、ただの“ちょっと変な人”だったでしょ。それが今や違う意味で“つかまりたくない人”が増えたはずで、それってつまり、ネタそのものが、見ている人に近づいてるはずなんよ。

その普遍さと、差し出される過剰なまでのばかばかしさとのギャップがおもしろいと思ったんだけどなぁ……そうかぁ、8%か。分からんもんやね。

分からんといえば、ニューヨークのネタにはハラハラし通しだった。遺失物等横領に道交法違反。1万円には所有者の名前なんて書いていないだろうから立件しにくそうだけど、飲酒運転は心情的にも「軽い犯罪」ではすまされないような……。とはいえ、審査員の点数はほぼ90点台だし、Twitterでも概ね好評で、やはりここでも私の感覚のほうが少数派のようだった。

私は、とにかくモラルだけは失いたくないと思っているクソ真面目だから、犯罪ではあんまり笑えない。犯罪“まがい”のことであれば、ホームレスのおじいちゃんが、年末年始は刑務所に入ろうとトイレに落書きをしてみたものの、水性ペンしか持っていないせいでうまく書けず、きれいに消えて困ったっていう話を聞いたときには笑っちゃったな。器物損壊にならない。なんかもう、悲哀だよね……。

さいごに。

「漫才か否か」を論ずるためには、まず“漫才”を定義しなきゃいけないんだけど、教科書的に定義されたその“漫才”に迎合する“お笑い”って、そもそもおもしろいの?“漫才”はもっと自在で、“お笑い”はそういう窮屈な定義を打ち壊すものであってほしい。私はどちらかというと“一致”よりも“差異”に惹かれるたちだから、ありものの型にはまるか否かなんて、わりとどうでもいいよ。

*1:原作は18禁ゲー

*2:組体操合戦

*3:2020.12.24現在