部屋と沈黙

本と生活の記録

the band apart 25th anniversary ITa FES 感想【後編】


ITABASHI x TANITA x asian gothic label presents
ITa FES
the band apart 25th anniversary”
2023.4.15 Sat. ~ 2023.4.16 Sun.

日曜日、快晴。痛いくらいの強い日差しに、きのうの天気はなんやったん?と思う。前日は寒すぎて飲めなかった生ビールを片手にさっそく入場するつもりが、あの、、2日通し券のリストバンドって、切っちゃだめなんですね……!

嫌な予感はしてたのよ。「切り離し無効」で2日目どうするんやろ、と思いながら、お風呂に入るときに邪魔だから切るじゃん?……それ、だめらしいよ!

なんとなく不安で持参しておいた切断済みのリストバンドを提示し、受付の方に説明したところ、無事に再入場できてめでたしめでたし、、じゃなくて、片手に生ビール持ってんのが最悪なんだよもー!人様に謝罪と申し入れをするときの態度じゃないんだよまじで。。一社会人として誠に申し訳なく「お手数をおかけしてすみませんでした」と言うと「もう切らないでくださいね」と言われた。。本当にすみません。


2日目に巻き直してもらった2日通し券のリストバンド
初日の方よりも緩めに巻いてくれた

もし今、第n回目のITa FESに行こうとして、このブログにたどり着いた人がいるなら言っておく。切っちゃだめなんだって!たぶん、ほかのフェスの通し券もそう!気をつけてね!

そうこうしているうちに、2日目の弾き語りライブが始まる。この日は、渡邊忍の弾き語りも楽しみにしていた。

皮肉にも、コロナ禍をきっかけに私の音楽の幅は広がったように思う。バンアパをはじめ、様々なアーティストがYouTubeライブ配信を利用して音楽を鳴らすようになった。Spotify等のサブスクと違うのは、それらのコンテンツに彼らのパーソナルな部分が含まれていたことだと思う。ソーシャルディスタンスが強く叫ばれるなか、彼らの個性や人柄が垣間見えると、なんとなくほっとした。スター性やカリスマ性よりも、同じ今を見ている一人として居てくれるだけでよかった。

渡邊忍もコロナ禍をきっかけに聴き始めたアーティストの一人である。曲が好きだし、笑いかたも良い感じだし*1、下ネタはたまに聞き流したりもするけれど、音楽は聞き流せなくなってしまった。

そういえばバンアパの原さんは下ネタを一切言わない代わりに、時々ただひたすらまっすぐな下の話をする。


えんじ色が良い

物販で買ったハンカチ。個人的に、ハンカチはうれしい。サイズ感を気にしなくていいし、日常的に使える。グッズのなかでは定番のバンドTシャツって、とにかくでかいのよね。「オーバーサイズで着てもよし」なんて言うけれど、私には合わない。私の体型にもほんのちょっとだけ良いところがあるのに、オーバーサイズだとそれが隠れてしまう。似合わないものを買っても全然うれしくないから、とにかくでかいバンドTシャツは買わなくなってしまった。

そもそも、オーバーサイズが本当に似合う人ってあんまりいなくない?肩がかちっとして、そのまますとんと落ちる、すらっとしたモデル体型の人によく似合うから。うまく合わないと、間延びして見えたり、貧相に見えたりする。その点、渡邊忍はオーバーサイズがよく似合う。ライブのときに着ていた紺色のオーバーサイズシャツもよく似合っていて、あれだけラフなサイズをきれいに着こなせるのは、モデルさんか渡邊忍くらいと思うもんね。着こなしのバランスがよくて感心する。

物販には音源はなかったのかな?見当たらなかった。音源が欲しかったなぁ。。

それから、一番手のKeishi Tanakaとか、TGMXも良かった。Keishi Tanakaは、LOSTAGEのカバーも良くて、なんだか晴れた朝の野外がよく似合う人だなぁとも思った。対するTGMXは、なんとなく夜の感じ。声かなぁ。。歌そのものが良いし、鍵盤なのも良い。私はピアノが好きだ。

お昼ごはんどきでちゃんと聴けなかった時間が惜しい。誰か書いてくれ。


不穏な雲が……

さて、いよいよバンアパのワンマン。ライブの印象を端的に表現すると、家庭菜園の収穫報告かと思いきや綺麗なお花のうしろで犬ころがケンカしてる、みたいな感じだった。

具体的に言うと、痛いくらい日差しが強くて暑かったのに、途中でいきなり大粒の雨が降ってきて、荒井さんのMCが終わるやいなや東の空に稲妻が走り、ライブが終わるころにはすっと晴れて、最終的に虹が出た。しかも前日の金曜日には、会場の目と鼻の先で火事だよ。

暑いし寒いし燃えるしよ〜、じゃんじゃん降りの雨に「わー!」、稲妻が走って「ひー!」、荒井さんの「うそだろ……」で「あはは!」だから、もうむちゃくちゃだよ*2。おもしろかったなぁ。くもりの予報だったけれど、念のために雨具を持参しておいて良かった。私はスタンディングエリアのなかばから後方、人がまばらなあたりでゆるく見るのが好きなので、雨が降ってきたときも、そのままリュックサックからレインポンチョを取り出し、羽織ることができた。

ていうか、ほんとに2時間やったのかな?ダブルアンコールまであって、体感では40分くらいだった。セットリスト的には定番曲多め?ほとんど覚えていない。バンアパはよく「おしゃれ」だと形容されることが多いんだけど、私は、彼らの音楽を「おしゃれ」だと思ったことは一度もない*3。それはたぶん、誰かにとっての「おしゃれ」と、私にとっての「おしゃれ」の感覚が、それぞれ違うからだと思う*4

私にとっての「おしゃれ」は、「洗練された」印象のほかに「あなたによく似合う」とか「この場に相応しい」みたいな感覚も含む。だから、たとえどれだけ着飾っても、その人やその場にそぐわなければ、それは「おしゃれ」とは言わない。つまり「洗練されたものがあるべきところに美しく収まっている」印象が強い。

私はそういう「おしゃれ」が好きだし、美しいものも、それがきちんと収まっている様子も大好きだ。落ち着く。

対して、the band apartの音楽は、どこかに収まっている感じはしない。それこそ晴れた日の天気雨みたいに、いつも何かしらの驚きを与えてくれる。豪雨、雷鳴ののち、あまりにも出来過ぎで笑っちゃうくらいの虹が出る。私を落ち着かない気持ちにさせる。

終演後、木暮さんがドラムスティックを投げても驚かない。ライブではたまに棒が飛んでくることを、私は知っているから。荒井さんもピックを投げて、、というか、蒔いてたね。1枚1枚、優しく蒔いてた。荒井さんらしいと思う。

ホテルに戻って雨具の手入れをし、お風呂に入ってから、YouTubeライブ配信された後夜祭を見る。今はもうメンバーシップ限定の動画*5しか残っていないのかな?2日間の出演者についてのふり返り雑談が楽しかった。

the band apart 25周年、本当におめでとうございます。30代後半になって、こんな荒川くんだりまで出てくることになるとは思っていなかった。私は、いなか住まいのしがない賃金労働者なので、遠方のフェスにはなかなか行けないけれど、来年、再来年と続くよう願っています。

2日目のお昼ごはんは、舟渡ラーメンを立ち食い。


美味しかった!

物販では、今回のフェスに合わせて発表された新曲2曲入りの“ALRIGHT e.p.”と、カタカナの“ザ・バンドアパート”キーホルダーを買った。


数年前に購入した暗闇で光るアジゴシくんキーホルダーと一緒に

アジゴシくん同様、“ザ・バンドアパート”の部分が暗闇で光ればなおダサくてかっこいいんだけど、残念ながら光らない。


板橋の雨に濡れてしわっしわの歌詞カード

“ALRIGHT e.p.”は2曲とも荒井さんの作曲・原案で、荒井、あらい、ゥアライ、alright、とのこと。

どちらも歌メロが良いから車で聴いてると口ずさんじゃうし、“SUNDAY EVENING”のアウトロ(原さん監修)もかっこいい。ギターが表と裏を行き来して、裏でばちっと合うみたいなさ〜!アルバムで例えるなら3rd感?3rdの楽曲に似てるというよりも、3rdはさ、ギターとベースがそれぞれ「わ〜!」ってなってんのが、ここぞってときにぐっと集まるような曲が多いじゃん。そんな感じ。

“夢幻の街”は、冒頭から出てくるベースとドラムの感じがすごく好み。20年バンアパを聴き続けて今ようやく分かったのが、私はたぶん、短い休符のあるリズムが好きなんよ。音と音に囲まれた小さい空間が好き。休符とはつまり音の無い部分で、そこに、なんというか、ものすごく凝縮された音楽があるような気がする。音が無いところに音楽がある、みたいなことに強く惹かれる。

そう考えると、私がバンアパを好きになったきっかけの“WHEN YOU WISH UPON A STAR (星に願いを)”にも短い休符があるし、拍と拍のあいだの裏だとか、拍子がひとつ抜けてたりだとかが*6、どうしようもなく好きなんだと思う。

だから、メロコアにはさほど惹かれなかったんだろうなぁ。世代的にはどんぴしゃなのに。これを書くとぶん殴られそうだけど、メロコアのリズムは、わりとどれも同じに聞こえるんよ……*7。曲そのものは速くて激しい感じなのに、リズムはすごく律儀というか。拍のすべてが鳴ってる印象。音楽の押し引きで言うと、押し、押し、押し、みたいな。音と音に囲まれた小さい空間はあまりない。

てことは、さっき書いた「バンアパおしゃれ問題」も、ここにかかってくるのかなぁ。リズムの鳴りの多さ、重さを考えると、音が鳴っていないことによる抜け感がおしゃれ感に繋がる、的な?まあでもこれ、メロコアを通ってない奴が思いつきで書いてるだけだからね。偏見だよ。メロコアのリズムがどれも同じに聞こえるのは、私の聴く力の問題だと思う。

そういえば、2021年の中止の際、チケットの払い戻しをしなかった人が多かったんだって。そのお礼として、2021年のチケットを買っていた人に粗品を、とのことだったんだけど、私はしっかり払い戻しをし、生活費に充てたので、なんとなく辞退してしまった。来場者特典のステッカーのほうは、スマートフォン歩数計がうまく機能しなかったんだよね。。こういう「まぁいっか」でもろもろ諦めるところが、“にわかファン”だなぁと思う。

*1:顔全体で笑う人が好き。でも、私の周囲の男性は“はにかみ系”が多くて、笑いながらちょっと恥ずかしそうにする。もっと、ぴゃっと笑ったら可愛いのに。

*2:もちろん、雷雲が近づいた際の避難については事前にアナウンスがあり、きちんと管理されていたと思う。

*3:唐突なディスり。

*4:バンアパは“おしゃれ”じゃない」と言いたいわけではない。むしろ、同じ言葉に含まれる感覚が人によって異なる事実が興味深く、その違いを知りたいと思う。

*5:後夜祭ライブ配信後のメンバーシップ向け限定配信

*6:8thアルバムの“Super High”とか?

*7:誠に申し訳ございません。