部屋と沈黙

本と生活の記録

日常に響く音

私が暮らすまちに、NUMBER GIRLがやってくる。

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このあいだ、したり顔で「あの界隈はなんで突然感傷に浸るんだろう?」なんて言ってごめん。お前もな!だよね。

7/13正午、NUMBER GIRLの“WILD BUNCH FEST.2021”出演が告知された。音楽フェスの中止がニュースになるこの時世に、県内でフェスが開催されることにも驚いたけれど、私の育ったまちにNUMBER GIRLがやってくる驚きには敵わない。私が初めてNUMBER GIRLを聴いたのは、解散が発表された年の冬、18歳だった。

NUMBER GIRLは私にとって特別なバンドだ。どうしようもなく、私を揺さぶる。あの感じはなんなんだろう?いつかきっと“NUMBER GIRLのあの感じ”を書きたいと思いながら、逡巡し続けている。

迷いがないとは言えない。県内の感染状況は落ち着いているものの、終息の兆しはない。5月のバンアパも、7月のペトロールズも、9月のバンアパとアスパラの野外も、県外だから諦めた。せめて、県内のイベントには行きたい。“普通に生きて”、“一人で映画に出かけたり 悔やんだり”する私の日常に響くNUMBER GIRLを観てみたい。

それに、ワンマンは取れない。

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まじで取れない。きっとNUMBER GIRLに思い入れのある人がたくさんいるんだろう。解散後もフォロワーが増え続けているバンドだ。だからこそ、自分の目で観て、自分の言葉で、その特別を書いてみたい。この夏の課題にしようかなぁ。この目で観ることができたら、書く。“向井秀徳は語らない。”から始まる文章を。

このままうまくいけば、夏の終わり、私も音楽フェスへ参加することになる。楽しみな気持ちと割り切れない気持ちが混ざり合って変な気分だ。「音楽を止めるな、フェスを止めるな」みたいな空気には馴染めないし……。Twitterを眺めていると、フェスに参加することを「生きる理由」とまで言う人たちがいて、その感覚の違いがおもしろいと思う。その気持ちがどういうものなのか、もっと形容してほしい。

私は「生きる理由」を自分の内側に持ちたい。外的要因によって「生きる理由」が根こそぎ奪われるなんて、すごくしんどそうだ。それに「音楽の力」という言葉でフェスが扇動されているのも好きじゃない。人は、生きてさえいれば、どんなに悲しくて困難な状況下でも、いずれはおなかが空いてしまうし、些細なことで笑っちゃうし、音楽を聴いて素晴らしいと感じてしまう。それってすごくさみしくて、すごく美しいことだと思う。人間の内側には、そういう、どうしようもない強さみたいなものがある。「音楽の力」云々の前に、「筋肉は裏切らない」みたいな。センチメンタルではいられない泥臭さがある。かっこいいよね、人間って。かっこいいよ。