部屋と沈黙

本と生活の記録

かもしれない

きのう書いてしまった感情的な文章に動揺している。以前は、ああいう感情的な文章を書かないようにしていた。抑制された文章が美しいと思っていたし、感情に煽られて書いた言葉が、世の中にとっての“間違い”かもしれないと思うと躊躇した。間違えたくない。まともでありたい。嫌われるよりは好かれたかった。

きっと誰からも受け入れられる、みんなの“本当”を書きたかったんだろうと思う。でも、そんなものはない。そんなものは、おごりかまやかしだ。私の“本当”と、誰かの“本当”があるだけ。それぞれの“本当”はとてもよく似ているかもしれないし、全然違うかもしれない。あるいは何もないのかもしれない。

「同意」「同意」「同意」で埋め尽くされる世界は気味が悪い。多数決で切り捨てられたことは、“なかった”ことにはならない。きのう書いた文章に私の嘘はない。正直な気持ちだ。でも、感情をあらわにすると揺り戻しが大きい。私は可能性の分岐点を「かもしれない」の言葉でかき集める小心者だ。

皆に受け入れられないかもしれない自分を受け入れ、自分の言葉で書くためには勇気がいる。匿名を隠れ蓑に、インターネットの僻地で細々と書いているだけの私ですら怖いと思う。自分の言葉で書くことは、自分に色をつけることだからだ。いつでもきれいな色を使えたらいいけれど、うまくいかないことだってある。

ともあれ、率直に書いたことでようやくすっきりした。すこしくらい感情的になるのも悪くないよね。そうであってほしい。でないと世界は息苦しい。

というわけでナンを焼く。先週、無印のナンミックス(半量)で草鞋が1足焼き上がったんだけど、今回は2等分を4等分にして、気持ち薄めに伸ばしてから焼いてみた。

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今回も『魔女の宅急便』に出てくるおソノさんの旦那さん*1の筋肉を思い浮かべながら生地をこねる。ものすごいパワーだ。

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ちいさい草鞋が2足。……まあ、薄々勘づいてはいた。草鞋が増えるだけかもなって。おいしかったです。

*1:グーチョキパン店の店主