部屋と沈黙

本と生活の記録

SMOOTH LIKE GREENSPIA 2021 感想

「県外だから」と諦めていたバンアパとアスパラのライブを配信で観た。

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2021.9.18 sat.
SMOOTH LIKE GREENSPIA 2021
服部緑地野外音楽堂

the band apartASPARAGUS。彼らの音楽がかっこいいことはたびたび書いてきたけれど、今回もやっぱりかっこいい。アスパラは好きな曲ばっかりのセットリストですごかった。良いな〜と思ってた日本語の曲も分かったし、またちょっとずつ音源を買おうと思う。

あと、アーカイブを観るたび「息吸い放題!気持ちい〜!」のくだりで笑っちゃう。ほんとさ、息を吸うのも憚られるほどの空気だった時期があるじゃん。コロナが蔓延し始めて、“自粛”が“要請”されて、“マスク警察”なんかが出てきたころ。もちろん、マスクしなきゃいけないことは分かってたよ。でも、“マスク警察”の正義は私が信じる正義とは違ったから、結構しんどかった。誰もいない非常階段でマスクを外し、吸い込む空気の冷たさを新鮮に感じながら、なんでこんな当たり前のことを遠慮して、息を潜めてなきゃいけないんだろうって思ってたもん。そういうことを考えちゃう自分も後ろめたいというか。息苦しいのはマスクのせいだけじゃなかった。だから、息吸い放題、超良いな!と思う。そういう世の中が良い。

忍さんのMCに対する一瀬さんのルマンド受けもおもしろかった。しかもあのルマンド、隠蔽しなくていい方のルマンドだよね。「ふぁさー」としない。たとえばルマンドイデアがあるとして、それを根底から覆すほどの堅さ。

あとさ……、直央さんって、めっちゃ優しそう。なんか一緒にいたらめっちゃ幸せにしてくれそう……!ライブ中のちょっとした相槌だけでも、そういう感じが滲み出てる。アスパラのライブはまだ配信の2回しか観てないのに、そんな気がすごくする。……いやー、これは書くか迷った。だってただの告白だから。

バンアパは1stの曲が多かったのかな。あと“8月”を聴けたのも良かった。

MC中、ちょっと不安げに「荒井?」と呼びかける原さん、うわのそらの荒井さん、笑いながら聞いてる木暮さん、無の川崎さん。ていうか、客席の笑い声が聞こえないことに「拗ねて」やる音楽がかっこよすぎるんだよ……!バンアパの良さって、近所に住んでる兄ちゃんたちがむちゃくちゃかっこいい!みたいなところだと思う。しかも私、無の川崎さんに握手してもらったことがあるんだよ!ほんとにうれしかったな〜!そのときは無じゃなかった。物販でめっちゃ働いてた。

そういえば原さんが「“ストーカー”は(言葉の響きが)チャラい」「それなら“ストーク”!」と言っていて、なんかそんなタイトルの映画を観た気がするな〜とググってたら、タルコフスキーの『ストーク』……ではなく『ストーカー』だった。

内容はほとんど覚えていない。それを“正しい”と信じている者からすれば、それはいつも“正しい”、たとえば夢を見ているとき、それがどんなに荒唐無稽でも、それを“本当だ”と信じ込んでいるような、そういう信仰の根の危うさ、みたいなことを考えたような気がする。でも、その危うさは一途さであり、一途さは無垢であり、無垢は暴力でありーー、みたいな感じ。

……うーん、でも数年前に一度観たきりで、結構難解だったからなぁ。全然見当違いなこと言ってるかも。チャラくはなかったよ。

新曲もすごく良かった。ほかの何にも似ていない、素敵な曲。珍しく川崎さんのギターの音程が聴き取れた気がして、試しにiPhoneに入ってるGarageBandのピアノモードで弾いてみる。最初が“ソ”で次が“レ”、“シ”、あとは聴こえたまま流れに乗せればいい。ただ、試しに半音下げて弾いてみても“そんな感じ”になるから、本当に合ってんのかどうかは分からない。私の音感、まじでポンコツだからな~。木暮さんが新曲でミスったと言ってたけど、全然分かんないし*1

……まぁ、いいか!テキトーついでにもうひとつ、もし私があの新曲にタイトルをつけるなら“不思議”にする。星野源*2とかNUMBER GIRL*3にも同じタイトルの曲があるけど、もうちょっと手触りの違う“不思議”。もちろん「不思議ちゃん」みたいな、ゆるふわな感じでもないよ。もっと“不可思議”に近い“不思議”。

ふかしぎ【不可思議】《名ナノ》ふしぎ。(ア)考えても奥底までは知り尽くせないこと。(イ)異様なこと。怪しいこと。[派生]ーさ
岩波国語辞典より

人知の及ばないところ、異様さ、怪しさ。1000年前と1000年先の夢の話だよ。遠い過去と遠い未来の私たちからすれば、今ここにいる私たちなんてみんな妖怪みたいなもん。でも、もしかしたら同じ夢を見るかもしれない。そんな感じ。アルバムが楽しみだね。

客席を眺めるのも楽しい。拳を振り上げる系、仁王立ち系、祈り系と色々いるなかで、私はシャイな盆踊り系だから、できるだけ目立たない感じのところにいたい。まず、和を乱したくない。拳を振り上げる系のなかにシャイな盆踊り系がいたら目立つでしょ。拳の振り上げどころがよく分かんないからあたふたするし、あれあの子、楽しんでない?みたいになっちゃうと申し訳ない。心は打ち震えてんのに。だから大抵は後方寄りで、ステージと楽しそうな人たちを一緒に観ながら、控えめにリズムを取ってる。きっとあのへんにはシャイな拳を振り上げる系、シャイな仁王立ち系、シャイな祈り系もいる。それが良い。私と同じように彼らもきっと、誰もいなければ一人盆踊ってたり、一人拳を振り上げたりするんだろう。でももう部屋で一人盆踊るのには飽きた。みんなもそうじゃない?


おまけ
また変な感想文を書いてしまった。いつもそう。だからもう「ライブの感想を書いていたはずが、いつのまにか全然違う場所に着地するブログ」っていうのをしつこくやり続け、それを様式美にしていくしかない。たとえば向井秀徳がずーーーっと「繰り返される諸行無常」だの「蘇る性的衝動」だのブレずに言い続けてるの、本当にかっこいいと思うもん。とにかくしつこくやる。そうすれば、こいつは基本的にしょうもないことを書くやつだということが周知され、そういうのを好いてくれる人が見にきてくれるようになるし、たまーにしっかりしたライブレポをほんのちょこっとでも書けば、いわゆる“ヤンキーと猫”システム*4が発動し、なんだ結構書けるんじゃん!みたいな棚ぼたにありつけるかもしれない。

これからもそんな感じでいく。よろしくお願いします。ちなみに私はゴールド免許です!

*1:原さんも荒井さんも間違えたと言っていた。

*2:“不思議”

*3:“FU•SI•GI”

*4:猫に優しいヤンキーは良いヤンキーであるとみなされる現象。