部屋と沈黙

本と生活の記録

独白

書こうか書くまいか迷っていたことを書く。

私は、新型コロナウイルスのワクチンを接種していない。以前、コロナもワクチンも得体の知れなさは同じ、と書いたが、要するに怖かったのだ。過去に薬害を経験したことも大きい。

私には薬剤アレルギーがある。正確にいうと酸性抗炎症薬に対するアレルギーだ。有名どころでは、アスピリンロキソニンボルタレンだろうか。なお、サリチル酸を含む食品にも気をつけたほうがいいと言われている。2015年に診断され「服用可」とされた抗炎症薬は塩基性のものだけだった。ソランタールという。塩基性の抗炎症薬はとても少ない。当時、市販薬には塩基性のものがなく、いわゆる「風邪薬」もすべて酸性であったため、念のために処方してもらった。とはいえ、現在まで服用することはなかった。

新型コロナウイルスワクチン接種による副作用に高熱がある。接種した人々に処方されるらしいカロナールアセトアミノフェン)は、かつてドクターに「たぶん大丈夫。でも飲みすぎたらダメ」と言われた薬だ。「先生」と呼ばれる医師にも、正確には判断できないことがある。

つまり、私にはワクチン接種における副作用への対処法がほぼなかった。くだんのソランタールはお守りとして冷蔵庫に入っていたものの、もうだいぶ古い。炎症に効果があるとはいえ、果たして解熱作用はあるのか。また、これまでに飲んだことがないため、アレルギーが出ないとも言い切れなかった。

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加えて、政府広告やマスコミの報道と、接種券に同封された「新型コロナワクチン予防接種についての説明書」に矛盾があることも気になった。厚生労働省が公開していた一次情報を含め、ワクチン接種が先行している諸外国の動向、居住地の人口と罹患者数(罹患する確率)、年齢、性別、基礎疾患の有無、職業上の県外移動及び罹患者との接触可能性の多寡、同居家族の有無、過去の薬害の経験等をふまえて、今回の接種は見送ろうと決めた。なにより、薬やワクチンは効く、だからこそ怖い、という思いがあった。多くの人にとって「安心安全」である風邪薬でさえ、私には害がある。正直、5Gがどうとか、“フルチン*1”がどうとかでワクワクしている人の気持ちはよく分からなかった。

ただし、自分の判断が正しいのかもよく分からなかったため、親やきょうだいに接種を控えるよう意見することはなかった。自分で考え、選択すべき問題だと思ったから、ブログやTwitterには「打った」とも「打たなかった」とも書かなかった。それにもし、私の主張や判断で誰かを傷つけたとしたら、もう正気ではいられない。私は、自分のことにしか責任が持てなかった。もしかすると、これが私の弱さなのかもしれない。常々、強要したくない、啓蒙したくないと言っているのはこういう理由からである。私は正答する。私は誤答する。私はそれを知っている。

私の家族は私の薬剤アレルギーを目の当たりにしているため、接種については慎重に検討するよう言われていた。職場で強要されることもなかった。そもそも聞き取りすらされなかった。個人の身体に関することであり、接種が任意であることを職場の全員が理解していた。

私は、薬剤アレルギーやワクチン接種に関してはマイノリティである。でも、まわりの人々には恵まれていた。

その後、感染そのものを予防する効果は低いだとか、ブレイクスルー感染だとか、ADEとか、集団免疫を獲得するのは困難だとか、当初の見解から現実が乖離していくたびに、もっと分からなくなっていった。そしてついに、3回目の接種に関する方針が、厚生労働省分科会から発表された。

Twitterで医師と名乗るアカウントのうち、ワクチン接種を推奨してきた人々が、現時点でこのニュースにほとんど触れていないのはどうしてだろう。2回の接種でよかったのではなかったか。「2回よりも3回のほうが効果がある」という主張をしても、いわゆる「安心安全」について言及しないのはなぜか。この方針がワクチンパスポートの形骸化に繋がる懸念はないのか。

もしも今後、国や彼らが自己責任論を持ち出すようなことがあれば、私は許さない。あれほど接種を煽っておきながら「自己責任」?あんなのは自己責任の範囲外である。自己決定を麻痺させる扇動に近い。noteでは、ワクチン接種に強い懸念を示す記事に「公的機関の見解と反する内容、または著しく乖離した内容の記事です。」という但し書きがなされる*2。マジョリティは正答する。では、マジョリティは“常に”正答するか?あなたは、その答えを知っているのではないか。

どうかこのまま何事もなく終息してほしい。私の家族やまわりの人々はほとんどが接種している。嘲笑されても構わない。私の心配など杞憂であってほしい。ビビりでいいし、情弱でいい。そんなことはどうでもいい。

早々に「予約を勝ち取った」と嬉しそうに話していた人もいれば、もうすこし様子を見たかったのに親が予約してしまったという人、重症化を避けるため、主治医から接種を勧められたという持病がある人、ママ友にハブられないように、と言っていた人もいた。私は接種を見送りはしたが、ワクチンに反対しているわけではない。本当はこんなふうに、白か黒かでは分けることのできないグラデーションのなかで、迷ったり悩んだりしている人が大半なのではないか。

未接種であることを理由に拒絶されることもあるだろう。本当は、この記事を公開するのがすごく怖い。私はまわりの人々に恵まれたから大丈夫でいられる。でももしあなたが、誰かに否定され、拒絶されて、ひとりぼっちだと思っているなら、そうではないということを知っておいてほしい。いろんな人がいる。あなたに似た人も、全然違う人もいる。私の身体、私の思想が、私のものであるように、あなたの身体、あなたの思想は、あなたのものだ。その上で、もしかしたら自分が間違っているのかもしれないということを、忘れずにいることだ。

*1:2回接種でfullのVakzin

*2:もちろん、本当に馬鹿みたいな記事もある。