部屋と沈黙

本と生活の記録

生活

詠み人知らず

久しぶりにゆっくりと朝を過ごす。土曜日。休日の午前中が好きだ。このあいだのような地獄の忙しさは去ったものの、細かい業務が途切れることなくまわってくるため、12月も基本的には早朝出勤を続けていた。ただ、冷え込みが増すにつれて、朝起きるのがつら…

(仮)

あーだめだ、書けんな。全然書けんから、これを書いている。11月末にバンアパの“November e.p.”が届いて、12月3日に髭の配信ライブ、5日にフルカワユタカのオンガクミンゾク、6日にYCAM爆音映画祭でダムタイプの“2020”を観て、書きたいことはたくさんあるの…

この物語はフィクションです

もしかしたらかつての人々も、“うそ”に“ほんとう”を混ぜて伝えるしか方法がなかったときに、物語の力を借りたのかもしれない。時代、背景、対象を巧妙にスライドさせ、ひとつの“ほんとう”を示す。現代はもっと簡単だ。たとえ物語る力が不足していたとしても…

縁側

とにかく一刻も早く家へ帰りたいと思っているのに、今週は残業に加えて早朝出勤までしなければならないほど忙しかった。金曜日、出勤前にコンビニへ寄り、お昼休みにつまむためのサンドイッチを選んだついでに、赤ワインのミニボトルとおつまみもカゴに入れ…

私たちは不足している

Twitterに、24時間で投稿が消えるフリート機能が実装され、どういうふうに使えばいいのかなぁと考え始めた直後に「考えちゃだめだ」と思い直す。余計なことは考えちゃだめだ。“勢いに任せて投稿すること”を目的とした機能なんだから、とにかく考えちゃだめな…

寝言

たまに、寝ても寝ても眠くて仕方がないときがあって、先週末がまさにそんな土日だった。眠りと眠りの合間ですら眠りのようにぼんやりとしている。夢のなかで撮った風景が現実のカメラロールに残されているような気がして、眠りの合間から手を伸ばす、その間…

33,333kmまで、あと

6時半過ぎに目が覚めて、今のうちにガソリンを入れておこうとフード付きのパーカーを頭からかぶり、水を1杯飲んで、車のキーと、財布と、“October e.p.”を持って家を出た。うちの近所にある24時間営業のガソリンスタンドは、ここいら一帯ではいちばんの安値…

置き去りになんてしない

今日は何もしなくていい。私は予定のない日が好き。「何もしなくていい日」は「何をしてもいい日」だから。きのうはひと通りの家事をすませてからアパートの契約更新に関する電話を2本入れ、不動産屋へ行き、美容院へ行き、久しぶりにジムで泳ぎ、濡れた水着…

名前のついていないマイノリティ

同い年で未婚の友人が、最近になってアニメ映画の試写会によく当選するようになったという。「たぶん年齢的に、子どもがいるって思われてるんだと思う」。試写会のチケットはペアで、つまるところは母と子である。抽選の際、年齢をひとつの基準にしているこ…

「あるよ!」

いっぬっのー!おまわりさん!!!SNSとの距離感が未だに掴めない。冒頭の文章は、酔っ払っていたときに無性に呟きたくなった一言なんだけど、わずかに残された私の冷静が「やめておけ」と言うのでやめた。たとえば「いっぬっ」ってところが可愛い。犬を困ら…

短文で突き刺せ

半ばから仕事が立て込み、そのせいで末の4連休すら素直に喜べなかった9月。連日の時間外申請と、このあいだの金曜日なんかは疲れが出たのか左目のまぶたが時折り痙攣していた。そんななか、teamsに「絆モード」とかいう謎のモードが搭載されていることに気づ…

あしたのあじ

御冥福をお祈りします、という言葉が嫌いだ。馬鹿かと思う。御冥福?死後の幸せ?なんだよそれ、私にも分かるように説明してくれないか。それって、どういう幸せ?そうやって言うからには、死後の世界を信じてるんだよな?それって、どういう世界なんですか…

物語るシステム

こころは入れ替わりませんよ、なんでかって、こころは地続きだからです、と言った瞬間、あれ、本当にそうか?と考え始める。書くときと違い、喋るときはほとんど反射的に喋るので、言葉が声になって、それが自分の耳に届き、ようやく“おお、そうか……ん、そう…

豆の教え

豆乳が足りない。きのう書いた文章を読み返して気づく。酒とコーヒーとあったかいほうじ茶、それから豆乳。慌てていたのと、酔っ払っていたのとで、うちに豆乳があることをすっかり忘れていた。豆乳を飲み始めたきっかけは、私の女性としての機能が、少しず…

ただごと

きのうに引き続き本を読み、あいまあいまにうとうとしていると、妹から着信があり、これから甥っ子姪っ子を引き連れてやってくるという。わ!と思い、酒とコーヒーとあったかいほうじ茶しかない、ジュースがない、と慌てているうちにやってきて、赤いVWビー…

ただごとにいたらず

なんでもない1日をなんでもないまま書くのが苦手なんだろうと思う。見て、書きながらもっとよく見て目を凝らし、「考える」に至らなければ何もかもが至らない、そう思ってしまう己の性分がまじで面倒くさい。「考えない」ことは「考える」ことと同じくらい大…

魂に近い

今週のお題「ごはんのお供」(山口県民の場合)しそわかめ井上商店 しそわかめ 90g×5個メディア: 食品&飲料山口県民なら当然知っている。もし知らなければ、そいつはもぐりの山口県民だ。柔らかいわかめのふりかけで、それ以上でも以下でもない。山口県民に…

「正常です」

台風の影響で午前休の連絡が入る。時折突風が吹くものの雨は降っておらず、エアコンは静かに稼働を続けているから停電はしていない。向かいのアパートの窓に貼られた養生テープは昨日のままの米印だ。NHKでひととおりの台風情報を確認したあとは、オーディオ…

お買いもの日記

このあいだのオンライン紙博で買ったものが全部届いたよ!右上のノート2冊と紙製の筆箱は“&PAPERS”のミニ文具セット。細長い方のノートの小口には磁石が仕込まれているみたいで、閉じたときパタパタしないようになっている。細長い方はかたちを活かして、マ…

照度

台風が近づいている。このあいだかすめた9号ですら風が強くて怖いくらいだったのに、進路予想では直撃じゃねえか。金曜日の仕事帰りに寄ったイオンでは、LEDランタンも懐中電灯も品切れで、これはもう暗くなったら寝て過ごすしかないと考えていた。とりあえ…

こだわりという名の檻

こんな日本語、フルカワユタカに即つっこまれそうだけど、たなしんみたいな“何もない”がある人を初めて見た。 自分の好みやこだわりって、ある意味「制限」にもなるんだなと気づかされる。私だと、自分が身につけるものだとか、使うものに対してかなり強いこ…

揺れる

このあいだの朗読で、柴田先生が「声に出して分かりにくい言葉は、黙読でも分かりにくい」とおっしゃっていたのを思い出す。「翻訳するときに気をつけていることは何ですか?」という質問への回答だ。 議長の消え入るような「どうぞ」を一拍目とすると、二拍…

≒ book

なにしろ本が好きなので、持っているTシャツも本にまつわるものが多い。ディック・ブルーナ、ヨゼフ・チャペック、トミー・ウンゲラー、バージニア・リー・バートン、長新太、せなけいこ、きくちちき。夏の私は、概ね絵本のなかの絵を着て暮らす。なお、とっ…

四角い朝

警告のような電子音に殴られて目を覚ます。閉じられたカーテンの隙間から、四角い朝の枠が差し込まれている。引き出しを開け、古い水銀体温計を脇に差し込み「10分たったら教えて」と、Siriに話しかける。もはや「可愛い犬を見るための窓」と化しているInsta…

こんにゃくブラックタピオカの悲哀

「どうせなら、タピオカミルクティーを飲む人生にしたい」今になってようやく年始の目標を思い出し、生まれて初めて、かの黒い丸を飲んでみようと思い立つ。美味しいものは大好きだが、味覚に関しては保守的で、タピオカには“美味しそうさ”を見出すことがで…

2020年上半期を振り返る

上半期は、とにかく自問自答を繰り返した日々だった。 2020年は、あらためて「移動」の年にしたい。とりあえず行く。観る、聴く、書く。どうせなら、タピオカミルクティーを飲む人生、飛行機に乗る人生にしたい。 年始に立てた今年の目標。物理的な移動を制…

いてほしい

また、扉が閉まる。気配がする。悲しいニュースが目白押しの世界で正気を保つには、感覚を麻痺させるか、遮断するか、そのどちらかしか知らない。感覚を麻痺させるくらいなら、遮断してしまおう。そもそも、麻痺させる術を知らない。今年の3月末頃から、ほと…

コインランドリー

リネンのシャツも、薄手のコットンシャツも、今は乾いてくれない。閉じた本の頁までもが水気を帯びる。いろいろなものが、いつもより少しだけ重い。入れっぱなしのドライなモードが寒くて仕方ない。加えて、ここ最近お腹の調子も思わしくなく、私のお腹を真…

諦めるのを諦める

もしかすると私は、恋に落ちたことがないのかもしれない。大抵は「落ちる」というより、地下へ続く階段を下りていくみたいに、人を好きになった。何かにつけ、距離とバランスを保とうとしてしまう私は、ひとりの人やひとつの何かを、ただひたむきに信じてし…

禁忌に触れる

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』を観るためにテレビをつけると、野球界の原さんが笑顔でエア・ハイタッチをしていて、木曜の晩に配信されたthe band apartのライブを思い出す。第一部の終盤、演奏中の原さんが(バンアパの。念のため)、他のメン…